麗奈POV
このノートのことを桃花に話されたのは、去年の冬のことだった。私と桃花は長いことの友達だった。話したいことがあると家に呼ばれた。その時桃花は私に全てを話した。超能力のこと。人の性格がわかるだけでなく、記憶や人への気持ちをコントロールできるということを。信じるわけがなかったし悪い冗談だと思った。そして桃花は言った。「淵が私のこと好きなのもそういうことだよ。」と。私が淵のことを好きなことを知っていたのに。超能力のことなんてどうでもよかった。溜まっていたものが弾けたように私は桃花のことを突き飛ばしてしまった。桃花は驚いたような顔をした。友達だからきちんと話したいとでも思ったのだろうか?「全部・全部 罰なんだよ。」と桃花がポロッと言った。なんのことかわかんなかったしどうでもよかった。なぜに自分が被害者みたいにしているんだ。私は何も分からずに飛び出してしまった。ノートを入手したのは桃花が死んでしまった後だ。読んでみて初めてわかった、この超能力が本当だと言うことを
だから啓斗には教えてあげなければならないと思った。啓斗も透過に縛られてきた人間だ。これを知ることで啓斗は桃花という呪縛から解放されるんじゃないかと思った。「淵を桃花が自分のことが、好きになるようにしたんだよ。」気づくだろうか?自分が恋していた相手の正体に。気づいて欲しい「桃花はそういう人なんだよ。」私は桃花が死んでしまった後も可哀想だと思わなかった。むしろ嫌いという気持ちが高まっていった。「私は、そんなことに振り回された淵が可哀想だったから。慰めてあげたかったの。それだけだよ。」とこぼした。啓斗は「俺・・帰るわ」と言って立ち上がった。追いかけるようについていく。このままじゃ、もっと囚われてしまうかもしれない。ドアを開けて出る時に「啓斗、淵のこと嫌いにならないでね。」と声をかけると、こっちを一回見て何も言わずにドアを閉めて、出ていった。私とノートを残して。
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