啓斗POV


祭りの日になった。待ち合わせである改札の前に10分前から俺は待っている。俺と同じような人はいっぱいいるらしく、スマホを見ながら立っている人がたくさんいる。だが実際にスマホで何かを見ている人はどれくらいなのだろうか。「後どれくらいで着く?」と俺がLINEで聞くと「あとすこし」「5分で着きます🫡」と二人から返ってくる。6分後くらいに麗奈が改札から来た。「啓斗、楽しみだねー」「あーうん。」「何それ、緊張してるの?」「な訳」気乗りのしない返事に聞こえたのだろうか?こういうのを会話にして冗談にできるのは素直にすごいと思わなくもない。待ってる間、麗奈は色々な話をしてきた。それから、5分くらい経って淵が来た。「何が少しだよ」「俺はあと少しで駅に着くって意味で言ったんだぜ。」人の流れに乗って祭りがやっている方へ向かっていく。「懐かしいな。」俺が歩きながら淵に話しかける。「何が?」とこちらを少し見ながら返してきた。「よく俺らこの祭り来てたじゃん。」「あーね。最近一緒じゃなかったな。」「二人いつから仲良いの?」麗奈が話に入ってくる。「小2?」「じゃね?」「へーすごいね。そんな長く仲良いの。麗奈なら続かなそう」「まぁ男だしな。啓斗には気を使わないし。」「おい」そんな会話をしていると祭りがやっている大通りに着いた。屋台の食べ物の匂いが漂っている。

「あの店なくなったよねー」とか「昔はここあれだったよねー」とか俺と麗奈で話す。「淵、あそこなんだったか知ってる?」と会話に入ってこない淵を気にしたのか麗奈が聞いた。「いや、この頃全然ここ通ってなくて、最近通り始めたからわかんない。」「あー前もわざわざ大通り通ってたもんね。」と麗奈が淵に返す。絶対こっちを通る必要性はないだろ、遠回りじゃないか。「お前らこの頃仲良いよな。」と俺がいう。「なになにー?嫉妬ですか?啓斗くん。」麗奈がからかってくる。「ちげーよ」淵は何か考えているのか、あまり何も言わずに歩いている。何かを見ているようで何も見ていなさそうだ。

「かき氷買おうよ」麗奈がかき氷の屋台の前を通る時にいった。「ええよ」「おん」何人かが俺たちの前に並んでいた。俺らが一番前に来るとおじさんが「何味だい?」と聞いてきた。「定番ならブルーハワイかなあ」麗奈がいう。「いちごにしよう俺は。」と俺が言うと、「ピーチ味で」と淵が言う。「え?めずらし。そんな味あるんだー。へー。」と麗奈は、言ってはいるが、選ぶ気はなさそうだ。俺は、一瞬黙って「じゃぁ俺もそれで。」と言った。「えー。麗奈ピーチあんま好きじゃないからブルーハワイで。」と言った。おじさんが「ピーチ二つブルーハワイ一つね。」と言ってきた。おじさんが作っている間、三人で作っているところをみていた。いや俺に返しては他のところを見たくなかったが正しいか。かき氷はすぐにできて三人に渡された。三人で歩きながらかき氷を食べた。「みてみて。淵。麗奈のべろ青色。」と九割くらい食べた後に麗奈がベロを出してこちらに見せてきた。「そんなテンプレなことするなよw。」淵が笑いながら答える。麗奈が「わたくしお手洗いに行ってきますわ。」と畏って言った。俺が「お腹空いたから俺がたこ焼き買ってくるから、三人で分けようぜ。淵は、麗奈を待っといて」と近くのたこ焼きを売っている屋台を指さして言った。「ありがとー」「センキュ」と二人が返してきた。

俺はあの二人のイチャイチャをこれ以上見れる気はしなかった。わざわざピーチ味を頼んでおきながら。たこ焼きの屋台に行くと前に並んでいる人もいない。十人くらい並んでていてくれればよかったのに。2パック分を買って戻ろうとすると、麗奈がいつもの感じに合わずに話しかけてるのが見えた。麗奈がトイレに行くのを待って、淵のところに戻った。

「早いじゃん」淵が俺に気付き話しかけてきた。「さっき麗奈と真剣そうな話してたけど。告られた?w」落ち着け、まだ何にもいうところじゃない。まだな。「いや・・・・告られてはない」淵は言いにくいように答える。「あぁまぁ似たようなこと言われたんだろ。」二人で同じ方向を向いて立ちながら話し始める。「ごめん。」「何が?」「お前麗奈のこと好きなんじゃないの?」こいつ本当に俺が麗奈のこと好きだと思っているのか?それだけならどれだけ簡単だったのか。「な訳wでどうするの返事は。」「多分いいよって答えるんかな。」俺は何も言うことができなかった。淵が返事がないのがおかしいと思ったのかこっちを見てくる。「どした?」「お前とうかはどうなるんだよ。」と聞くと逆にあっちが黙った。なんで答えないんだ。でも答えられないというより、困惑した顔だった。「お待たせー」麗奈が帰ってきた。

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