第2話 鳥使い

「鳥使い」


白帽子爺御仁。

ゆっくりとした足取りで、公園つづきの庭園の池まわりに現れる。

マガモが池から陸に上がり、そのうしろをついて行く。

来るたび、その光景を目にする。 気になる。


白帽子爺は舌を丸めて、トゥロロロと、遠くまでよく通る舌音を出す。

マガモ、カルガモ、シラサギ、次々と姿を現す。

マガモは特にかわいがられているようで、〈ボス〉という名で呼ばれている。


鳥たちは、後ろをついて行く。

公園の広場は、人々が周りに引けて、スポットライトがあたったように、

鳥と白帽子爺の一大イベントが始まる。

ハーメルンの笛吹きのよう、鳥が一列になってついて行く。


これは、感動ものだ。見ておかなくては。


鳥は飛ばない、地べたを歩いてついて行く。

食べ物をもらうためだけではない、何かがある、何であるのか。


白帽子爺、何者か。

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