第3話 アオサギ
「アオサギ」
公園の東側に動物病院があり、ちょうどその向かいに、車道隔てて、
大きな白壁のように建つマンションがある。
帰り道、通るたび、
マンション入口横にある、車が三四台入るほどの大きさの、
ゴミ集積所と書かれた所を見ていくことが、最近の習わしとなっている。
その屋根上に、見るとほとんど毎回、首を長くして立つ鳥がいるのである。
くちばしが長く、体は少し青みがかっている。美しい。
長い首の模様は、首から腹にかけて一直線に三角形の模様で繋がっている。
色は、プルシャンブルー。セザンヌが絵の中でよく使っていたような色に
似ている。
何度も出会うことができ、アオサギであることを知る。
描いてみる。
細長い三角形のくちばし、羽をたたんで横向きでポーズする。
なで肩の両翼、セザンヌの青色をはらんで、深く美しい色だ。
首、胸、腹にかけての模様の正確さ、一つ一つ定規をあてて描いたのかと
思うほど規則性を持って繋がっている。
目の回りから頭の後ろへかけて、細いリボンのように伸びる飾り羽が
空風になびく。
凜凜しい面立ちとなる。
私は、サイズB6の紙面を鉛筆を走らせる。
無心に。
美しさのがしてならぬ 目を凝らし
くいいる思い 本質を見ろ
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