第2話

「んあーっ!終わったねえ〜。」

「ああ、そう、だな。」


今から、プールに行くんだよな。

やはり真っ当な男子高校生としては、下心が見え隠れする。

すずかの…水着…?


「…あたしの水着想像してたでしょ、この変態!」

「はっ!?なっ…!!」


すずかはきゃーっ、と言いながら、ほおに手を当てた。

それから何を思ったか、スクールバッグで俺のすねをうつ。

あっ、すごく痛い…。クリティカルヒットしてる…。


悶える俺を横目に、すずかはスキップで歩みを進める。

い、いってえ…


「あたしも水着持ってないから。制服でいいでしょ制服で。」

「…あ、そうか。」

「あからさまにがっかりしたな?キモいよ…。」


道路の隅で蝉がひっくり返って死んでいた。

俺の心もあんな感じだ…。


「んで、どこのプールに行くんだ?」

「しょーがっこー。」

「…は?」

「しょうがっこうです〜」

「…それはつまり?」

「まあ、忍び込めるっしょ。」


俺は額に手を当てる。

瞬く間にびしょびしょになった手に顔を顰めた。


「あたしさー、誰もが認める完璧美少女でしょー?」

「大丈夫、全然そんなことないから。」

「…まあ、真面目だとは思われてるでしょ?」

「それはそうか。」


すずかの足が止まる。


「少し、悪いことしてみたいの。りょうと一緒に。付き合ってくれる?」

「まあ、暇だしいいけど。」

「さーてとっ、裏口からの方がいいかなぁ。」


すずかは意気揚々と駆け出す。

陸上部速い…!!

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