「カクヨム短歌賞1首部門 応募作品」

青山 央

「カクヨム短歌賞1首部門 応募作品」


平気かもこの人となら直箸も二等分せよ残った大根


空高しレモンオイルを椅子に塗る腕まくり軍手の指余る


日曜のつむじの辺り寝ぐせあり無水カレーを味見している


告白の声はシトロン飲んだよう高二のままの三十路の冬の


山の人街の人へのおみやげは谷のビールの栓抜ける風


そばにいて泣きも笑いもしないけど溢れちゃうんだごろごろと鳴る


いつの間に染み付いたのか泣く笑う今日こそ落とす洗剤はここ


二人には氷が溶ける時間だけ一人は黙し爪だけ見てる


さよならはスプーンに乗るほどだけどぐるぐるぐるぐる溶けそうにない


仕舞えるよう吾の胸には奥がある預かっておく二人の迂闊


悲しみはアコーデオンの不協和音汝の鍵盤を吾の指先が


うろちょろはユニクロがいいその先は501だろコンバースもな


選択の自由なんかがある内は不自由なんじゃと思えガキんちょ


サボテンを枯らしちゃうのと笑ってた胸の鉢に根を張る鈍感


矢印を杖の代わりに旅に出るnowhere man街の灯跨ぐ


孤独等は猫から夜へ跳び移り濁点払うように尾を振る


本棚の陰には隠し扉ありまだ現れぬ鍵を差す人

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「カクヨム短歌賞1首部門 応募作品」 青山 央 @a-hisashi

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