第6話 言えなかった答え

翌日の放課後。

教室の片隅で拓海がスケッチブックを閉じたそのとき、美咲が声をかけてきた。


「ねえ拓海、最近よく絵を描いてるよね。何描いてるの?」


一瞬、胸が跳ねる。けれど答えは用意していた。

「ただの風景だよ」


笑ってごまかすと、美咲は「そっか」と微笑んで健人のもとへ駆けていった。


拓海の手は、閉じたスケッチブックの上で強く握られていた。

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