第5話 夜の独白

家に戻り、机の上にスケッチブックを広げる。

ページの中には、美咲の笑顔や横顔ばかりが並んでいた。


「伝えたい。けど、伝えられない」

鉛筆を握る手が震える。描くことでしか想いを吐き出せない自分が、情けなくもあった。


窓の外では春の夜風がカーテンを揺らし、遠くで部活帰りの笑い声がまだ残っている気がした。

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