第7話 春風に託して
卒業式の日。
桜の花びらが舞う校庭で、美咲と健人が笑い合う姿を遠くから見ていた。
鞄の中には、最後まで見せられなかったスケッチブック。
拓海は静かに目を閉じ、深く息を吸った。
――これでいい。
想いは形にはならなくても、心に刻まれていれば消えない。
そう自分に言い聞かせ、ゆっくりと歩き出した。
背中に春の風が吹き抜け、遠くで二人の笑い声が響いていた。
スケッチブックに残るも @YUYUYUYU112
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