第4話 振り返る仕草

美咲と健人が並んで歩く後ろ姿を、少し離れて拓海は見つめていた。

笑い声が風に乗って届くたび、胸の奥で何かが崩れていく。


美咲がふと振り返り、拓海に気づいて手を振る。

一瞬、笑顔が返せずに足が止まった。けれど次の瞬間、いつも通りの笑みを作り、小さく手を振り返す。


――その仕草に、気づいてほしくはなかった。

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