経過観察 2日目


あれから数日が経ちなんとか焔との生活も落ち着きはじめて来た。そして焔を経過観察しているとわかったことも少なからずある。1つは血より肉の方がいいということ。妖術はかなり強力で今は使うつもりは無いということ。私は手元にある研究資料を見ながらため息を吐いた


「……いつもの研究より長丁場になりそう……」


そんな私の小さな言葉は誰にも届かず、途中経過をまとめたあと焔の様子を見るために自室から出て焔がいる部屋へと向かった。



「焔。調子はどう?」


「ハルカか。まだ本調子とは言えないが調子はいい。」


「そうそれは良かった。今日は貴方の血液を調べるから後で腕出して……食事はその後。」


「……分かった。いいだろう」


私はそれだけを伝えたあと手元の資料に今日の様子を書き込み私は部屋へと戻った。焔の研究に加え他の妖の研究だってまだ残っている……私は小さく息を吐き時間の許す限りペンを走らせ資料をまとめていく。この資料で少しでも妖による被害が無くなればそれでいい……なんて思いながら時計を見てみれば血液の検査時間になった。私は注射器とこの時間の食事を手に取り部屋を出れば先程までいた部屋へと向かった。


「焔。血液を調べるから腕出して。」


「ふむ……こうか?」


「うん。そのまま動かないで……」


私はそう告げてゆっくりと彼の腕へと針を刺し血液を採取しすぐに針を抜き傷跡を見ればそこには何も無く綺麗な腕があった。


「……聞いてはいたけど修復能力はかなり高いみたいね。針跡がもう無い。」


「あぁ個別差はあるが俺は早い方だろうな。」


「そう……食事も持ってきてるわ。食べた後は自由に過ごしていいわよ。私は自分の部屋にいるから。」


私はそう告げて軽く調理された肉を手渡しそう告げて部屋から出ようと踵を返した。


「ハルカは何故俺たち妖の研究なんかをしているんだ。力も敵わないだろう」


「……貴方には関係ない。」


「ふん。ニンゲンは分からないな。何故力が適わないものを調べようとするのか」


その言葉を聞いて私は唇を噛み締めた。確かに妖の事はまだ分からないことだらけ。いくら研究成果を出してもそのデータはすぐに更新される。


「貴方には関係ないわ。力が敵わないなら適うようにする。分からなければ調べる。それが研究者としての生き方よ。」


「……ハルカは変わっているな。数百年生きているがそんなニンゲンは初めて見た。」


「そう。それは良かったわね」


そう告げて私は部屋を出て自分の部屋へと向かった。部屋の中に入れば先程の言葉が頭の中をグルグルと駆け回る…妖の研究者なんて何人もいる訳じゃない。むしろ目指す人の方が物珍しく見られる。理由は簡単……危険すぎるから。妖の情報が出れば現場へ赴いて調査や研究対象として妖を捕らえる……その繰り返し。私は息を吐き首を横に振り思考を放棄した


「……考えるの辞めないと。今やることは血液の研究……あとは動物型の研究も……」




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