完成の塢
離散していた
邑の者は、総出で邑の再建に尽力した。見る間に邑の外縁は四方四百六十間(約八百四十m)、高さと厚さ共に四丈(約十二m)の
それだけではない。
自由に往来できる墻壁上の四隅には、外敵を監視するための
墻壁の上には
東西南北の門は
万一に備え、城門や城壁を破壊するために作られた攻城兵器である
取って置きは、
西暦一八七年、秋――。
「これで、いい」
腕組みした許淵は、南の門楼の上から得意げに邑内を展望した。
北門近くの墻壁の下を通し、近くの小河川から水も引いている。許淵が中心となって再建した邑は、墻壁により有に二千家を
日々は平穏だった。邑の糧食も蓄えができつつあった。
「やればできるもんだな」
「ほかにやることもなかったからな」
許淵の両脇で、
穏やかな夕陽だった。
南西の角楼では、
「父上が築きたかったものは、これだったんだな」
「…………」
何気なく言った許定に、許褚はただ、夕陽を眺めながら
「わかってるな、褚。この邑を守るのは、俺たちの仕事だぞ」
「ん」
許定と許褚が、決意を新たにした時だった。
「こんなところで怠けてたのかよ」
両手で頭の後ろを抱えている。皮肉な笑みを浮かせた
「定兄! 褚兄!」
兄たちを見つけたとでも言うように、薛麗の手を解いた許林杏が笑顔で駈け出した。
開け放たれていた四方の門が閉まる音が響いた。
邑の中央付近には、
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます