第36話 仕組まれた悩み!?
夕飯を食べ終えて部屋に戻ったわたしはベッドに寝転んで本条からの返事が来てないかスマホを見た
返事は…来てた
『「好き」とは、物事や人、ことに対して好意や興味を抱く気持ち、気に入ること、心惹かれることを意味します。 だってさ』
はあ? わざとやってんならセンスあるわ…
ネットで調べるくらい誰でもできるっての!!
期待ハズレもいいとこすぎる!
返事待ってた自分もバカバカしいし返信する気にもなれん!!
ーピコピコー
本条からだ…
『好きにもいろいろある シンプルな質問こそ難しいんだよ』
最初から書いとけ…まぁラインで聞いたわたしもバカだったわ
「はいはい 日曜おけ 図書館いくか!」
本条に返信しつつ日曜の返事もする
図書館に行くのは久しぶりなんで楽しみだ
ーピコピコー
『んじゃまた予定きめよ バイ』
「ばい」
わたしは予定をスマホのスケジュールに書き込んだ
【友だちと図書館】…【友だちと図…?
【本条と図書館】
友だちじゃ誰のことかわかんなくなるからね
…こんなきっちりした性格だっけ わたし
気づいたら全部消してた スケジュール
明後日のことだからわざわざ書かなくてもわかるし
忘れんし
なんかわくわくしてるみたいでやだった
花凜ちゃんが変な事言うからだ
やっぱそれはちがうな…花凜ちゃんなんも悪くない
なんなんこれ!? なんかおかしい!!
「なに一人で悶えてんだ?」
え!? 目を開けるとそこにはカノンがわたしを覗き込んでた
「ちょ、いつの間に入ってきてたの? てかいつから!?」
慌てて飛び起きる
ドアの方指差しながらカノンがわたしの質問にひとつひとつ答える
「さっき ドア半開きだったし ネオンベッドで悶えてるし」
「悶えてねぇーわ!!!」
はぁ~最悪…おちおち一人で悩めやしない
ここからまたいつものようにカノンのわたしいぢりが始まるんだろうなぁ…なんて考えてたけど カノンはそれ以上なんも言わずに自分の机に行きヘッドフォンをつけた
わたしの前を横切ったカノンの顔はなんだか思い詰めてるようにも見えた
しばらくカノンの様子を見ていたけど姉として一声かけておくべきだと思った
いつも世話になってるかわいい妹のことだもん
「どした? カノン?」
ヘッドフォンをつけててきこえないんかな?なんて思った
「ネオンにゃわからん話しだ」
なんだ聞こえてるじゃん
「言ってみなわからんぞー なんせカノンより長く生きてる!」
中学1年の悩みなんて大したことないって思ってた
なんならわたしのがよほど悩み多き中学生活を送ってた自負すらあった
イスをクルリと半回転させわたしの方を見るカノン
わたしが信用できるに値するか見定めているかのように
「もし 好きな人がわたし以外の女子にやさしくしてたらどんな気持ちになるかな」
わざと合成音声みたいな声を出してわたしに質問する
「そんなのわかるわけないじゃん そもそもわたし好きとかなったことないし!」
てっきりカノンの冗談だと思ったわたしはあしらうような返事をしてしまってた
「だよな やっぱ役立たずだ ネオンに聞いたのが間違いだったわ」
そう言うとクルリとイスを返して机に向かったカノン
一瞬だけ見えた表情は哀しそうに見えた
その表情にわたしは胸が苦しくなった
「カーーノーーーンちゃん?」
心配になったわたしはそぉーっとカノンに近づいてみた
「さっきはごめん 冗談ぽく言うからつい…」
そこまで言って言葉が出なくなった
カノンの目に涙が浮かんでたから
「じゃあ 答えろよ 意見聞かせろ」
わたしの方を見てくれない
カノンは一人想い悩んでるんだろうな
自分が理解できないことに…
「その男子はカノンの彼氏なんだね」
「そうだ」
「カノン以外にも優しいのがやなんだ」
「そうだ」
「きっとな その彼誰にでも優しいんだよ」
「それがやなんだ」
「女子だけじゃないだろ そういう子は男子にも優しいはず」
「……」
「そういう優しい彼が一番好きなのはカノンのことなんじゃないかな」
「……」
「それわかってんだろ? だから今のカノンのそれは
『やきもち』だよな?」
「そうだ だからやなんだよ!」
「やきもちいいじゃん」
「こんな気持ちやなんだよ!」
「そういうのも含めて『恋』なんじゃねかな?」
「……」
「わたしなんかにわかんねけど??」
「……プッ」
カノンが少し笑った
「こら わたし真剣なのに笑うんかー!?」
アハハハハハ 二人して笑った だって笑うところだった 泣いたんだから笑えるとこまで持ち直したってこと カノンの今の涙は笑ってるから出てる涙
その涙にわたしは安心した
「ネオンから恋なんて言葉出るとは思わんかった
けどこの気持ちも恋なんだって思えたら負けらんないって思った」
「うんうん」
「だって恋したかったから」
「うん」
素直に言えてるカノンがかっこよかった
同時に羨ましかった
「ありがとネオン 役に立ってないアドバイスが役に立った!」
笑顔になってわたしをディスる やっぱぜんぜん素直じゃないやつ
わたしはでっかい手でカノンの頭をくしゃくしゃに撫で回す
「やめろ いたいからっ」
わたしの手を払いのけるカノンの目は笑ってた
まるで仕組まれたかのような今日一日の展開
ここまでかき回されることがあるのか?なんて思った一日の出来事がまるでなんかの試練のように感じた
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