第35話 誘い



「ただいまー!」


部活を終え帰宅したわたしはパッパと服を脱いでお風呂へ向かう 学校行って部活を終えて帰ってくると真っ先にお風呂に入りたくなるのが本能ってもんだと思ってる


「ママぁーー? お風呂入っていいー?」


ママの許可さえ貰えれば一番風呂だ!


「オトヤ入れてくれるならいいわよー」


「おっけー!」


ママに返事をしてお風呂に入る

一日の締めくくりって感じのお風呂はほんとサイコー


湯船に浸かってわたしは少し今日を振り返る

ってか花凜ちゃんに言われたあの言葉なんだけどね


[本条のこと…そんな風に意識したことなかったな]


のぼせちゃわないように半身浴しながら考える

そもそも好きとかわからんし

どうなったら好きって感情なんだろ?

家族は好きだけど、それとは違うんだよな?

花凜ちゃんだって好きだし…

どうなったら好きって言うんだろ??

また答えの出ない疑問がぐるぐる回ってた


ガチャとお風呂のドアが開く音がしたかと思うと


「ネオン 入っていいかー? ママがねーちゃんにお風呂入れてもらえだってさ」


オトヤの声だった


「いいよー! オトヤおいでー!」


わたしは弟をお風呂に入れる任務を遂行することに専念した 今はその方が好都合だと思う

でないとのぼせるまでわたしはぼーっと考え込んでたろう…答えなんて出るはずないのに…



オトヤをお風呂から上がらせ自分もあがる

部屋に戻ってもまだ頭の隅に残ってる疑問

隅っこって意識した瞬間その疑問はわたしの頭ん中を支配しちゃう

『もうやだぁ〜』声にならない声で打ち消そうとするけど それは無駄な抵抗だ

いっそ寝れたら、なんて考えるけどそれも無理

ベッドに寝転がってスマホをみる

ん? ラインが来てた 本条からだった


『今度の日曜に図書館でもいかんか? ここの図書館でかいから学校の図書室なんか比べもんにならないぞ』


今度の日曜って明後日よね…

とくに予定もない日曜 今までのわたしなら即返事してたけど よりによって今日はなんか即返事できんかった


『あんたより図書館詳しいから! 予定とか調べるから返事はまた後でいいかな?』


なんて返信する こんな意識する必要ないはずなんだけどな


いつの間にかスマホで検索してたワード


【好きとは 感情】 


バッカみたい…こんなの調べてどうすんだ? 


《ピコピコ》


『おっけ 予定わかったらおしえてな』


こいつの呑気さが羨ましく思えた 

だれのせいでこんなにわたし頭悩ませてんだ


『好きって感情わかるか_______ってラインに途中まで書いてた おまえも悩め!くらいの気持ちで ってかこんなの送れん でもなんか聞いてみたい

本条ならなんて答えるんだろ


『好きってどんな感情かわかるか』


どんくらいの時間が経ってたのかわかんないけど いつの間にか送ってた

だってわたしのことじゃないし

いい答えがあったら花凜ちゃんに教えてあげればいいことだし 変なことじゃないし

送信した後でいろんな言い訳考えてる自分がなんだか恥ずかしくなってやっぱ送信取り消そうと思った…けど遅かった 既読ついてた

わたしはじーっと既読の着いた画面を見てた

本条の返事待ってた 


ー ガチャ ー


「ネオン ごはんだぞ」


カノンがドアを開けて顔をのぞかせながら夕飯を教えてくれる


「うん いまいく」


そうカノンに告げてスマホに視線を戻した

本条からの返事はまだなかった


つまんねやつ、わたしはスマホを机の上に置いて夕飯を食べに部屋を出た






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