*ジェヴォーダンのベート

ジェヴォーダンの野獣は今でもフランスの子供たちを怖がらせる有名な伝説です。

18世紀フランス、ジェヴォーダン地方に現れた狼に似た生き物は、1764年から1767年の短い間に100人以上の死傷者を出す獣害事件としても有名です。その姿は巨大な狼と例えられますが、巨大な頭部や縞模様のある背中、長い尻尾など既知の狼と異なる証言もありその特徴は、ハイエナやライオンを彷彿とさせます。


野獣による襲撃事件の被害者の多くは牧童で、その親たちは自衛のための槍を子供たちに持たせていたといいます。野獣に襲われた遺体は頭部の損傷が激しく、他の捕食動物との違いが見られます。襲撃のサイクルも規則性があり人為的な事件性を称える説もあります。人を襲うように訓練された獣は、満月の夜に変身する狼男のイメージとも重なります。


ハイエナやライオンをその正体とするならば、その活動期間の短さからも、海外から持ち込まれた一個体の可能性もあります。しかしこの説も人為的な要素が含まれ、誰が何の目的でという疑問が残ります。何れにせよジェヴォーダンの野獣伝説は猟奇的な事件性と共に、子供が夜中に一人で出歩かない教訓として語り継がれていきました。


ドーバー海峡を渡るとシャーロックホームズでお馴染みのブラックドッグがイギリス中を闊歩しています。新月を司どる女神ヘカテーの使いであるブラックドッグは、そのイメージから黒い体色と赤く光る目を持つと言われています。オカルト色の濃い存在ですが目撃者は今でも多く、夜の三叉路に現れるという黒犬は、やはり狼男の姿と重なります。


イギリス本土では他にもビッグキャットの目撃情報も多く、大型捕食動物のいない島国では、逃げ出したペットや海を渡ったヨーロッパオオヤマネコがその正体とする説が挙げられています。中世では家畜を襲う害獣として忌み嫌われ、教訓や戒めとして語り継がれた野獣たち。今夜も子供に親は言い聞かせるのです、


ジェヴォーダンのベートがくるぞと。

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