第六章 雪の駅前
試験日前日、紘一のスマートフォンが震えた。
画面には美幸からのLINE。
「こっちは雪が積もっているよ」
添えられた写真には、白く染まった駅前の風景。
普段は目にすることのなかった景色が、どこか遠く、別世界のように感じられた。
紘一は指先で写真を拡大しながら、少しだけ笑った。
たわいのないやり取りが続く。
「寒そうだね」
「でも、ちょっときれい」
「風邪ひかないように」
そんな言葉の合間に、紘一はふと送った。
「明日は最後だから、がんばって」
その一言に、画面の向こうで美幸がどんな顔をしているのか、紘一にはわからなかった。
けれど、言葉の重みは、自分の胸に残った。
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