第4話 なにかがおかしい男

 この間の話なんだけどさ、間違って姉の睡眠薬を飲んでしまった時がヤバかった。


 姉は大学がキツイだか生理痛が重いだかで睡眠薬をもらってるんだけど、俺は高校の部活で腕をケガして痛み止めを飲んでんのよ。


 そんで間違えて姉の睡眠薬を飲んじゃったんだけど、生まれて初めて金縛りになるわ、酷い悪夢を見るわでもう最悪!


 金縛りになってる時は怖かったんだけど、目は動くって本当なんだな~とか思ったの覚えてる。


 その時に窓が見えたんだけど、そこに女が佇んでた。俺の部屋は2階なのに立っていて、凄い憎しみ籠った表情で俺を見てた。


 本棚からボトボトと本が落ちて来るし、ドアが開いて子供が笑顔でケーキらしき物を持って入って来たんだけど、なぜかケーキが燃え盛ってたり。


 テレビが勝手に点いてスポーツの中継が映ったり、もう色んな事が起った。でも流石に夢か金縛りの幻覚だと思う。


 だって俺の部屋には床に窓なんて無いし、床にある窓に映っていた女の背後に青空が映っていたのはおかしい。


 俺の部屋の本棚にはあんな大量の本なんて入ってないし、テレビは仏壇の中になんて設置してない。


 あれは完全に夢だと思うけど、もしかしたら睡眠薬で意識だけパラレルワールドに行っちゃったのかもなんて思ったりする。文化も常識も何もかも違う日本?


 もし夢だったとして、あれが俺の深層心理とかだったら嫌だって思うよ。


 だってさ、燃え盛るケーキを持って入って来た子供の顔は、何故か小さい頃に俺が誘拐された時に一緒に居た子の顔で、その子は今も見つかってないんだから。


 俺は悪くない、俺を恨むのは筋違いだろ!恨むんなら犯人たちを恨めよ!!!


 なんで俺なんだ!せっかく忘れてたのに今更になって何だってんだ!!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

短編の怪談 轟鏡 @tepure35

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ