編者註 1
初めまして。
この文章群を編じた者です。
ここまで読まれました読者の御方々に対して、私の方からここで一つ説明を入れておきたいと思いまして、ここに書きつけるものです。
尚、この後にも私の方からこのように編者註として、文章群への註釈や解説その他補筆すべき所を入れて参ります。
さて、ここまで何の説明もなく散らばった文章群を幾つか出して、急に編者が自我を出してきた事に困惑を抱く人達がいるでしょう。
その点については、正直に申し上げれば、読者の興味を湧かせるため…というのがその理由でございます。尤も、それによって大層難儀を為された方もおられるでしょうから、その点についてはお詫びしなければなりません。
ところで、この文章群ですが私自身が集めた物ではございません。
この文章群と云うのは私の友人である「犬長風揮」と言う人から貰った物です。
犬長風揮‥‥変わった名前ですが、彼は名前のみならず‥‥いや寧ろ名は体を表すと言いましょうか‥‥とにかくその奇抜な名前に恥じぬほどに、人柄と言うのも変わっているものでして私でも時折理解できない側面を見せると言う…彼は一種の怪人物なのです。
さて、この犬長は、現在もそうですがこれを集めた時分から定職につかずに金になるような事は何でもやるような人間でして、ある時は探偵紛いの事をやり…またある時は自営業をやってみたり‥‥またある時は突然ヨーロッパの中でも日本人には余り縁も無いようなバルカン半島のブルガリアやルーマニアの方に行ってそこらの大学などをブラブラするなど…とにかく掴み所が無く…それでいて歴史学の博士号も持っているのですから只者ではありません。
ところで私がこの犬長と出会ったのはかなり古く、高校の頃でした。
その頃の犬長は何かと奇行が目立つ人でして…時折訳の分からない物マネを披露したり、叫んだり、糞を漏らしたりなど…ここには書けないような事までもするような人物でした。
それでいて、その高校の性分からでしょうか、彼の周りにはどう言う訳か人が集まるのです。
私の友人もその1人で、その友人繋がりで私は犬長と接触しました。
そして…私と犬長はちょっとしたキッカケで歴史について話し合ったのです。
そうすると、彼と私は何かとその分野について共通の興味と話題を持っていたのか、その場で大いに盛り上がって話し合ったのです。
そうして、私と犬長はドンドンと交流を深めていったのです。
彼と友人になった私はその後、同じ大学に入り、共通の学部、サークルに入ったりしました。
卒業後には彼と疎遠になり、私はある出版社の方に勤めるようになり…犬長の方は大学院に入りました。彼が博士号を取ったのはそこでだと聞いております。
私が再び彼と繋がったのは其れから数年後の事で、本当にヒョンな出来事でした。
大学卒業後の私が出版社に勤めるようになったことは既に書きましたが、私はその中でもミステリー物やホラー物を主に取り扱う雑誌の編集者となったのです。
とは言っても、その頃の私は新米でしたから特に華となるような仕事は任されませんでした。
しかし、編集という仕事柄、雑誌に掲載される作品に触れあう機会は多く、次第にそういう分野に興味は湧いていき、遂には自分で書いてみたいという‥‥一種の創作願望というものが生まれたのです。
そんな折でした。私はとある人物にインタビューを行うように言われたのです。
そのインタビュー相手こそ犬長風揮でした。
その頃の彼は丁度探偵紛いな事をやっており、何かと奇異な事件に遭遇していたものでしたからこの雑誌の目に留まったのです。
インタビューに私が任されたことで数年ぶりに私は彼と再会し、それをきっかけに縁が再びつながりました。
インタビュー以後、彼とは何度も出会うようになり、酒を酌み交わしたりもしました。
そんな中で、私は彼に自分の創作願望について話しました。
すると、彼は大いにその話を面白がり、私の背中を大いに押してくれたのです。
そういう訳で、私は作家‥‥というには大分おこがましいですが、少なくともその真似事をするようになったのです。
そして‥‥私がそのように作家の真似事を始めたのとほぼ同時期に彼は私にこれら資料群をくれたのです。
彼曰く、私の創作の手助けになるやも知れぬという事でした。
ところで‥‥彼はどういう訳でこれら資料群を集めたのか‥‥これにはある訳があるのです。
詳細は後々に記述されますが、彼はとある人物から依頼を受けて調査したのです。そして、その過程で多くの資料が集まった‥‥という訳なのです。
そして‥‥彼が調査の末に導き出した事実というのが何とも奇怪なものでして‥‥まさに「事実は小説より奇なり」という言葉そのものであったのです。
それ故に、私はこれらを創作の材料にするよりも、寧ろこの一連の資料群から描き出された出来事というものをそのまま世間に発表してやろうと思い立ったのです。
それ故にここに記された記事や出来事は全て実際の出来事です。そして‥‥ここで一つ念を押しておきたいのが、この資料群からなる作品というのは私自身の作品ではなく、犬長のものであるという事です。
彼が凡そすべての調査資料を自力でかき集めたりしたのに対し、私はあくまでもそれらを纏め、そしてちょっとした伝記を付け加えただけなのです。
ですから、あくまでもこの作品を読むときは、これが事実であり、犬長の手柄によるものである‥‥という事は念頭に置いておいて欲しいのです。
では、長くなりましたが、これを以て編者たる私の挨拶とさせていただきます。
私の體には惡魔の血が流れてゐるのでせうか 夏山繁樹 @TNOVJGKM
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