自分が好き、大好き

『推し活』という言葉がピンと来なくて難儀する場面がある。空気を読む人間なので「あ～推し活ね！　うんうん、あるある、わかる～わかるよ～推し活いいよね、いいッ、最高！　ホントいいよね！」と話を合わせるが内心「何が面白いのだろう」と首を傾げている。

　自分以外の人間を夢中になって推して、何が楽しく何が嬉しいのか？

　その心理が全然わからない。まったくもって意味不明だ。

　赤の他人に対し無駄な金を投じる行為を推し活と称し大騒ぎするのは、単なる商業活動である。このブームを愚かしいと思う人は私の他にもいるが、そういう者の中に「自分より家族が大切」と宣う向きが少なからずいて、私を戸惑わせる。

　家族とは、たまたま同じところにいるだけの人間に過ぎない。その程度の存在を、自分よりも大事と断言するのは異常としか言いようがない。家族を守るためならば、違法行為でも何でもやりかねないのなら、その人は反社会的な犯罪予備軍だ。

　まともな人間である私は、自分だけを愛する。自分以外の人間は、どうでもいい。自分が可愛くて仕方がないのだ。ああ、可愛いよ自分！

　こんなに可愛いのに、どうして誰も私を愛してくれないのか？

　意味が分からない。

　私は誰も傷つけない。誰にでも優しい。

　人に優しくしないと、自分が優しくされないことを知っているから。

　こんな賢く優しい私が、どうして誰からも優しくされないのか？

　世の中は間違っている。