第16話 輸送車襲撃
──二週間後
「いいかお前ら、今日は俺達ノンエデュリスと行政の初の直接対決だ。絶対に負けるわけにはいかねぇ。負けたら食肉になる。美食家に食われる。そう、死だ。それは死って事だ。道半ばで死んでたまるかってな。あんな欲にまみれた奴らに食われてたまるか! 心してかかれよ!」
今から五分後に、僕らは工場に行く輸送車を襲撃する。中には食肉になるために連れて来られた罪無き一般人が乗っている。
物陰に隠れている僕ら五人は、五十メートル先にいる警備員に視線を移す。
「
博士の問いに僕ら二人は力強く頷く。ボスとガールにしごかれた二週間は本当に地獄みたいな日々だった。それくらい厳しい特訓を受けた。でも、だからこそ僕は僕自身に自信が持てるようになっていた。
「あらやだぁ、ネイルが欠けちゃったぁ。せっかくお気に入りの色だったのにぃ」
「ガール……勝ったらネイルサロンくらいいくらでも行けるだろう?」
さすがのボスも少し呆れ顔だ。ガールには緊張感ってものがないのだろうか?
「あと二分……。定刻通り輸送車が到着するはずです」
「腕が鳴るぜぇ」
──そして二分が経った。輸送車が工場のゲートに着いて中に入ろうとしている。
「行くぞ!」
ボスの号令で僕達は一斉に物陰から輸送車の前に飛び出した。
ボスと博士、そしてガールは護送車の正面に向かう。運転手と警備員を殺害するためだ。
蓮と僕は荷台にいる人間を助け出すべく、
「な、何!? 強盗!?」
中にいる人間達がいっせいにざわめく。中には八人の人間がいた。
──ドガガガガガガガガ‼
ボス達三人は中にいる三人を確実に仕留めようと嵐のように銃撃をする。博士はこの日のためにマシンガンっていう銃を闇ルートから手に入れて、強化ガラスも一瞬で破壊できる威力に魔改造したって言っていた。
僕と蓮が解放した扉の中にいた人間は、手錠をされて椅子に固定されていて動けないようだった。それぞれが悲鳴を上げて半狂乱になっているが、逃げだす事も叶わない。
僕と蓮は荷台に飛び乗って一人ずつチェーンを破壊し、椅子への固定を解除していく。手錠を銃で壊すわけにはいかないから、手錠はしたままになるのが申しわけないなぁと思った。
「まだここから降りないで! 事が済むまで、ここにいて下さい!」
僕は彼らにそう叫ぶ。そうだ。まだ僕達の戦いは始まったばかりだ。
一分間にこれだけの事をしていたら、工場にいた警備員がこちらに駆け寄って来た。博士の分析通り二名で、飛行型AIロボも空中を飛んできた。
「お前ら何者だ! 銃を捨てて両手を上げろ!」
警備員は僕らにレーザーポインターを当てようとする。だが、僕らはターボシューズで飛び回っているのでなかなかポイントが定まらない。
「死ぬのはお前らだぁ!」
ボスが警備員に対してマシンガンを発射するが当たらない。
「ピュア、わいらも行くねん!」
僕と蓮も銃をマシンガンに持ち替えてボス達の加勢に向かう。
ちらっと運転台を見たら、そこは血染めの池のようになっていた。ガラスというガラス全てに血飛沫がこびりついている。
僕達五人は、警備員と激しい銃撃戦をする。警備員二人は背中に付けたジェット装置を使って四方を飛んで僕らの弾を交わしている。その周りを飛行型AIロボが飛んで、僕らにレーザーポインターを当てて来る。
僕らはターボシューズを使って三メートル上空まで行けるが、あちらのジェット装置の機能もそれくらいが限界で。でも、飛行型AIロボはその遥か上空まで行けてしまう。
「くっそぉ! ちょこまか動きやがってぇ!」
ボスが苛立ちを隠さない。
『不審者ヨ、今スグ投降シナサイ』
飛行型AIロボが警告音を鳴らしながらそう訴える。
「誰が投降なんてするかよ!」
ボスが連射した弾が警備員一人の肩に当たった。
「ぐわぁっ!? くそっ!」
僕はその隙を見逃さなかった。
よろめいてバランスを崩した警備員めがけてマシンガンを連射した。
──ドガガガガガガ‼
「ぐわぁぁぁぁぁっ‼」
弾は警備員の全身を貫通し、ジェット装置も破壊した。三メートルの位置からあっという間に警備員が落下していく。
「GJ! ピュア!」
蓮が振り返って僕に親指を立ててウインクして来る。僕も少し微笑む。
──その時だった。
「ノンエデュリスとは、お前らの事だな!?」
そう叫ぶ声が聞こえたかと思うと、レーザービームが後ろを振り返っていた蓮に降り注いだ。
「うわぁぁぁ!?」
蓮の身体を高圧電流が貫通し、蓮のターボシューズもショートし、身体を硬直させたまま地面に落下した。
「ボーイ!!」
僕は蓮に駆け寄ろうとする。
「どけピュア!」
ボスはそう叫ぶと声の方向目掛がけてマシンガンを連射する。声の先には、無数の警察官がいた。
あっけに取られている僕を博士が押し避ける。
「何をボーッとしているんですかピュア!」
そういうと、博士は自分用にカスタマイズしたより軽量なマシンガンを警察に向けると連射し始めた。
「何故ここに警察が!? 通報が行くにしても早すぎます!」
「お前も撃てピュア! お前もだ! ガール」
何が何だか分からなかったが、僕とガールも警察官めがけてマシンガンを連射する。
何人かの警察官はその銃撃で倒れたが、特殊な金属で出来た盾を持っている警察官はなかなか倒れない。
「こりゃぁヤバいぜ! お前ら! ずらかるぞ!」
「ボス! ボーイは!?」
「仕方がない! 今は逃げるしかない!」
「でも!!」
「ボスの言う事を聞きなさい、ピュア!」
僕らはターボシューズの出力を全開にして逃げた。現場には蓮と、それと結局逃げ出せなかった食肉用の人間がいる。
「くそっ……! 蓮……!」
僕はこみ上げて来る涙を抑えるのに精いっぱいだった。
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