ep.23 颯爽の娘子
登場人物
原野を
円形で灰白色の
馬上の者の姿は、男の
老いた父は、山裾にある小さな集落の長だった。
丘坤には二人の弟がいたが、若かりし頃の父からは、どういう訳か丘坤だけが武芸を仕込まれた。取り分け、弓術は幼い頃から徹底的に叩き込まれた。
左右どちらからも矢を射ることを強いられた。百歩離れたところから、定めた一枚の小さな葉を射抜くまで食事を与えられないこともあった。宙吊りにされたまま、矢を射る訓練も強いられた。どのような場所、体勢からでも、狙い定めたところを
庭で遊ぶ弟たちを尻目に、学問と教養も教え込まれた。そのうち、
昨年、母が死んだ。
「これを母と思うがよい」
老父から渡されたのは一張の弓だった。
深い緑色に輝く、ずしりと重い弓だった。
そして、十日ほど前――。
「丘家の口伝通りであれば、よもや大事が迫っておる。丘家の主は今やお主。当主が女の代にこんな日がやって来ようとは……。だが、お主には全てを伝えてある。往け、丘家の宿命と共に――」
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