ep.6 青年の嘲笑
登場人物
世に放たれた
曲阜は活気に溢れ、そこに住む民も従順な
それもそのはず。国を統治する君主が不在なのである。いつ、どこから隣国が攻め寄せて来るかもわからない。その不安が民草の笑顔に影を落としているようだった。
不在の君主に代わり、魯国を牛耳っていたのは、
王子喬は、民に眼を細めると
昼間であれば容易に出入りできる。城郭の外には、広く長い街道が続いていた。人々の往来も引っ切りなしだった。擦れ違う人も様々で、商人のような者もいれば、職人のような者、
王子喬は、いずれの者とも擦れ違う間際に微笑を
向かってくるように歩いて来たのは、女児を真ん中に、その両手を父母がそれぞれ握った親子だった。
女児が嬉しそうな笑みを湛え、代わる代わる父母を見上げている。それに両親も柔らかな笑みを返していた。
王子喬は道を譲るように身を避けると、再び微笑を湛えてその家族に眼を細めた。
互いに
今度は、擦れ違っただけではなかった。
王子喬は父母に飛ばしていた。飛ばしたのは呪念だった。王子喬にしてみれば、人など
擦れ違う人々の数が次第に少なくなり、すっかり
「ここだ、ここだ」
王子喬は独り
最初は身を屈めてしか進めなかったが、外の明かりが届かなくなる距離まで達すると、身を屈めずとも済むような大きな空間が続いているようだった。
王子喬は、
すると――。
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