ep.5 三公の野望
登場人物
「何も困るようなことはあるまい」
両耳の作りが小さい。
「左様。これまでどおり、我らで国を統治すれば良い」
口許を覆うほどの白髭を蓄えている。季平の左方より身を寄せたのは、これも恰幅が良い三公のひとり、季平、叔孫豹と違わぬ年代の
「そんなことはわかっておる。
季平は叔孫豹と孟献を交互に見遣ると、溜息混じりで返した。
「ん?」
「はて?」
「果たして、国を捨てて逃げるような君主を受け入れる諸国があろうか?
叔孫豹と孟献の
「確かにのう。だが、仕方あるまい。昭公さま自らが撒いた種じゃ」
「我らの働きにより、昭公さまの手を
季平は、空いた玉座に冷ややかな視線を投げると
それに叔孫豹と孟献も続いた。
「我ら
云った季平に叔孫豹と孟献が
これより魯国は、八年もの間、正統な君主が不在の異質な時代へ突入することとなる。
二年ばかりの時が過ぎた。
頭には白い
その青年が与えられた名だった。
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