第1章 邪神
ep.4 追放の君主
時は紀元前五一七年、
宮廷の礼制により先代を祀る儀式に姿を現したのは、
無理もない。舞楽を披露する者は
同じ頃、魯の三公のひとり、
三公とは最高位に位置する三つの官職、司徒、
魯では、三公の官職が代々世襲されていた。中でも司徒に就く季氏が最も権力を有していた。
舞台には所狭しと舞人の姿が在った。その舞台を囲うように演奏する者たちが整然と並んでいる。
太い白眉の下は、開いているかもわからないほどの細い眼だった。知命の頃を迎えた
それもそのはず、舞楽を披露する者の数は、優に六十を超えていた。
これが昭公の耳に入った。
二十数年来、魯の君主として在位していた昭公も、度を越した主従逆転の現象に、堪忍袋の緒が音を立てて切れたのである。
「もう我慢ならん‼ これほどまでに余を
堪らず昭公は、季氏討伐の兵を向けた。
確かに、君主の昭公は近衛兵を囲っていた。しかし、その兵は近衛兵とは名ばかりの雑兵だった。
昭公は勢いを以って季平の
「大人しくしておれば良いものを」
宮廷に在った季平は、太い白眉の下の細い眼を空席の玉座に向けて呟いた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます