第6話 探し物は『あい』

「日が暮れる前に、と思って飛び出してきちゃった。どうしたらいいのかな・・・」

時刻は16時半ごろ。もう近所のお菓子屋さんは閉まってしまう時間でした。おやつといえば家の冷蔵庫に入っているプリンだけです。

「おやつでもプリンは『あい』じゃないんだよね。」

ブンブンと啓介は頭を横に振りました。それにあのプリンは夜ご飯の後に食べようと昨日から楽しみにしていたものでした。二人のためとはいえ、渡さなくていいならそちらの方が嬉しいのでした。

「うーん。じゃあ、『あい』ってどんなんだろ。ユッキーも菊くんも知らないんだったら、お店にはないのかも。見たことないきのみを探しに森の方に行ってみようかな。」

次第に楽しくなってきた啓介は、さっきまでの歩きよりも少し歩調を早めて森に向かって歩き出しました。


〜〜〜〜〜〜


森の奥の方に入ってはいけないと、家の人から厳しく言われているけれど、ちょっと入るだけなら大丈夫だよね。そう思って森に入ったのは20分ほど前。いまだにきのみを探して入り口から少し入ったところをうろうろしていました。

「見たことのないきのみかぁ。出ておいでー・・・あっ!」

啓介でも手の届きそうな高さのところに薄茶色の小さな実がなっていました。

「これ・・・食べてみよう。うん・・・ほんのり甘くて美味しいけど、なんだろう。なんか、足りないような気がする。なんだかつまらないって感じの味。これじゃないのかなぁ。でも、もう暗くなるし、これ持っていくしかないかなぁ。」

夕日が沈みかけている中、啓介は急いで摘んだ実をシャツのお腹の部分の生地にくるんで走り出しました。

焦る気持ちとは裏腹に実が跳ねて落ちないように気をつけると思ったよりスピードが出ませんでした。でもそれは門限を破っていい理由にはなりませんし、雪之助と菊太郎が気まずいまま家に帰ることになっていい理由にもならないのです。少なくとも啓介は無意識にそう思っていました。

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