第4話 軍勢

「入城を許す。我が軍勢を見せてやろう!」


魔王が胸を張る。

リトは「お、やっと魔王っぽい」と少し期待した。

軍勢がいるのならば、じつは意外と大物なのかもしれない。


だが、出てきたのは――ぷるぷる震えるスライム一匹。


「……」


「こやつこそ魔界最強の従者! 名をスラ吉という!」


スライムはぷしゅっと泡を吹いた。愛嬌はある。が、どう見ても雑魚だ。


「これでどうやって人族攻略すんだよ!」


「侮るなかれ! このスラ吉は……あの、あれだ……とにかく強い!」


「説明雑すぎ!」


リトは顔に出てしまうほど呆れていたが、

見て見ぬふり?をした魔王は拳を突き上げ、声高らかに宣言する。


「人属領進出の足掛かりとして、まずは村のパン屋を落とす!」


「……いや目標ちっさ!」


「地道な征服から始めるのだ。ちりつもじゃ!」


「それ、ただの嫌がらせじゃねえか!」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る