第3話 魔王城

「とにかく、我が城に来るがよい!」


魔王に連れられ、リトは山道を抜けた。辿り着いたのは断崖の上。

そこにあったのは――


「……小屋だな」


リトは思わずつぶやく。


「違う! よく見るがよい、これぞ魔王城だ!」


確かに尖った屋根、旗も立っている。だがどう見ても一間の木造小屋。

窓ガラスは割れ、入口付近には『注意! 崖崩れ』と書かれた看板。ある意味、普通の魔王城より怖い。


「狭……いや、コンパクトだな」


「ふっ、余計な広さなど要らぬ。我は質実剛健を旨とする魔王だからな!」


胸を張る魔王。しかし次の一言で台無しだった。


「トイレは外界でするように」


「……」


リトは、こんなところまでノコノコ付いて来てしまった自分のことを、

心の底から殴ってやりたいと思うのであった。

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