第2話 取り分

「世界の半分を……って言ったよな?」


リトが確認すると、魔王は小さな胸を張った。


「うむ! 人族を滅ぼした暁には、お前に半分を与えよう!」


「……そんなに簡単に? それ、お前の取り分はどうなるんだよ」


 リトの指摘に、魔王は一瞬黙り込み、指折り数え始めた。

「我が半分で……お前に半分で……いや、軍勢の分もいるな……えっと……」


「…………よし、やはりお前には四分の一だ!」


「え、もう減った!?」


「ち、違う! 計算を見直した結果だ!」

 魔王は慌てて弁解する。だが顔が少し赤い。


 さらに数分後――。


「やはり十分の一でどうだ!」


「なんでまた減ってんだよ!」


「……むむ。いや待て……うーむ……。やっぱり百分の一が妥当かもしれぬ」


「おい! どんだけケチなんだよ!」


リトは額を押さえた。

どうやら、この魔王とやら、見た目のショボさを上回るほどの

『底知れぬ器の小ささ』の持ち主のようである……。

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