我と手を組めば世界の半分を…いや4分の1を…ちょっと待って10分の1…えっとあの100分の1位で… ― 存外ケチな魔王様と往く人族攻略 ―
茶電子素
第1話 勧誘
昼下がりの村の広場。
リトは、今日も暇を持て余していた。仕事がないわけではない。
畑を耕すか、川で魚を捕るか、やろうと思えばいくらでもある。
だが、どうにも気分が乗らない。
あくびをひとつして木の根に腰を下ろした、そのときだった。
「我と手を組めば――世界の半分をやろう!」
突如響いた高らかな声。
見れば、広場の真ん中に黒マントを翻した人物が立っていた。
背は低め、痩せているのに胸を張り、どこか誇らしげ。
フードの影から覗く赤い瞳がぎらりと光っている……はずなのだが、
声が裏返っているせいで迫力が半減していた。
「……は?」
「驚いたか、人の子よ! 我は魔王! お前を選ばれし魔の尖兵としてスカウトしに来た!」
魔王を名乗った男?は、足元にじゃれつく一匹のネズミを、なぜか誇らしげに撫でている。
「世界の半分を……?」リトは首を傾げる。「なんか怪しいな」
「怪しくなどない! 契約だ! 我と共に人族を打ち破り、この世を征服するのだ!」
声だけは堂々としている。だが、背後に魔物の軍勢がいるわけでもなく、ただ一人。見た目もただの怪しい人にしか見えない。
「……とりあえず、詳しく話を聞いてみるか」
退屈しのぎのつもりで、リトは、彼?の話に耳を傾けることにした。
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