第5話 敵の陰

 青龍ビル3F訓練所はバスケットコート2面をゆっくりとれる広さがあった。


青龍忍軍を前に俺は偉そうに前に立って話したが柄にない事は妙に背中がこそばゆいが仕方無い。


「みんな時間を取らせて悪いがこれもみんなが強く成る為だと諦めてくれ。

 時間は早ければ3~4時間、遅ければ明日の朝まで掛かっても終わるか分からない」


「小太郎様、時間は気にせずとことんお願いいたします」

「有難う、お言葉に甘えてとことんやらせてもらおう」


 俺は全員に身体強化を最大限するように伝えるて様子をみる。

 結果、玄太さんを入れて48人を三つのグループA・B・Cに分けた。


 Aグループは通常の3倍以上の強化が出来る者 5人

 Bグループは通常の2倍以上の強化が出来る者 35人

 Aグループは通常の2倍以下の強化しか出来ない者 8人


「今、ABCの三つのグループに分けたが基準は身体強化の熟練度が高い順と思ってくれ。

 今夜は全員が現在の倍以上の強化が出来たと俺が判断したら解散とします」


「・・・・・・・」


「どうやら無理だと思っているよだが、お前たちは日本国を護る実働部隊だろ。

現在のままだと弱すぎる。

 昨夜蟲毒のメンバーと少しやり会ってみたが、末端と思われる奴らはお前達と同程度だったが、幹部と思われる奴はお前たち全員でかかっても瞬殺されるくらいの強さを持っていた」


「‥‥流石にそれは話を盛り過ぎでは」


「いいね、そういう言葉を待っていたよ。青龍忍軍48人を俺が一人で相手して人間の強さの限界が無い事を教えてやろう」


 全員に構えを取らせる


「準備はいいか、このコインが床に落ちたら戦闘開始だ。銃でも刀でも武器を使ってもいいぞ、いいか俺を殺すつもりで来いよ本気でな」


『チーン』コインが床に落ちた。


5秒後


『ドサ・バタン・ドサ・ダダン・・・・・・」


 青龍忍軍で倒れていないのは片膝をついた玄太さんだけだった。


 ≪ エリアヒール ≫


 倒れていた全員が起き上がる。


「分ったろう今のが俺の身体強化を使った動きだ。本気になればもっと早いぞ、更にお前たちのいう術を使えば、1秒で全員を細切れにも、消し炭にも、氷漬けにも出来るしそれ以上の事も可能だ」


「・・・・・」


「術はともかくとしてお前達も身体強化だけで俺がやって見せた程度に動けるように鍛えてあげるよ。

 時間が掛かっても漏れる事無く全員をな」


 青龍忍軍全員が俺から視線を外すことなく小学生の様に眼を輝かせながら真っすぐに俺を見てる。


 俺は全員に座禅を組ませ、身体強化をしながら身体の中を力がどう動くか意識させる。


「力の流れがイメージが出来ない者は手を上げろ」


 直ぐに手が上がる。・・・・・・何の事は無い全員だった。


 俺はAチームから順番に俺が使う魔力循環を現代忍者たちの背中に手をあてて強制的にする。


「これが力の素の循環だ。出来るようになったらより早く、全身全て爪の先まで循環するように」


 全員に強制的に力素の循環とそれを毛細血管迄してやると、さすが忍者全員が休憩も食事すらとらずに黙々とこなしていく。



「よし今日は此処までだ、全員この鍛錬は俺にすれば準備運動みたいなものだが、みんなは未だ未熟だからしばらくは空いた時間で力の循環をしてくれ。

 くれぐれも任務に支障が出ないようにな」


≪エリアヒール≫


「以上、解散」

『ありがとうございました』

結局終わったのは翌日の夕方にかかろうとしていた。


「ふ~」

「小太郎様有難うございました。画期的な指導をしていただき有難う御座いました」


「うん、思った以上に効果はあったし。みんなこれからもっと伸びるよ」

「そうなれば嬉しい事です」


「玄太さんの忍軍は何部隊有るの?」

「小部隊5人から6人で今日参加出来ない者もいれて10部隊で各部隊を小頭がまとめております」


「それじゃこれを各小頭に持たせて」


 マジックポーチを10個出して玄太さんに差し出す。


「中にポーションが上・中・下の3種類それぞれ10本入っている」

「小太郎様ポーションとはどんなものでしょうか?」


「玄太さんラノベ読んだないの?」

「ラノベ事態存じません、面目有りません」


 俺がポーションの使い方を説明していると椿さんがやってきて


「主さん少し話が有りんすが」


 俺が頷くと景色が変わり竹林に囲まれた椿さんの家に着いた。

 囲炉裏の座布団に座ると椿さんは間もなくお盆で、ほうれん草のお浸しと

クリームチーズを乗せたいぶりがっこと熱燗を持ってきた。


 いぶりがっこを噛みながら熱燗を口にいれる。

 前世の記憶がセピアの映画の様に胸を熱くする。


「主さんが奇襲を受けた高尾山の蟲毒のアジトを調べたでありんすが既に引き払われた後でござんした。

 主さんを攻撃したのは四凶で無い様でありんす」


「四凶以外にもヤバイ奴がいるんだな蟲毒は、で誰なんだ?」

蚩尤しゆうでありんす」


蚩尤しゆう?俺は知らないがやばい奴なのか」

「初めての情報でありんすが、半神、半獣人と伝えられますが神といっても間違いないでありんす」


「そんな情報も無いやつが何故、蚩尤だと分かるんだ」

「消えない黒い炎でありんす」


「俺が辛うじて躱したあの黒いのが燃える火だというのか?」

「そうでありんす、標的を全て燃やし尽す迄、何をしても消える事が無い黒い炎でありんす。

 調査にいった者が拠点が燃えている事に気が付き、近づいて黒い炎を観察している際にわずかに衣服が触れ、衣服が燃え、肉が燃え、骨が燃え最後は命が燃え尽きる迄何をしても炎は消える事が無かったとの事でありんす」


「蚩尤の武器はその黒い炎だけか?」

「伝説では剣を両手で使い、さらに超能力を使うという伝説の悪神でありんす」


「そんな危ない奴が日本に今いるんだ。再戦が楽しみだな」

「主さんでも勝てる相手とは思えんでありんす」


「超能力を使う魔人とは戦った事はあるし、黒い消えない炎の使い手の話は聞いた事が有るので、早急に対応策を考えておくよ」


「ばかな、相手は神でありんすよ。わらわは日本の国より主さんが大切でありんす。

 主さんには蚩尤と戦ってほしくないでありんす」


「大丈夫だよ、けど心配してくれてありがとう」

「でも・・・・」


「俺は早速準備に入るが、椿さんは戦闘もこなすのか?」

わらわは長生きだけの無能でありんす」


「でも転移が使えるじゃないか、かなり凄いよ」

「永い間に自然に覚えただけでありんす」


「思い当たる事が有るので楽しみにしておいてよ」

「なんでありんしょ?」


「それは内緒だ。じゃあ今日は行くよ又明日な」


 俺は東京のマンションに転移して酒屋に向かい大量の酒を買い込んだ。

「全て青龍ビルの武田さん迄今すぐに届けて欲しいいくらだ」


 酒代の3,500万円をカードで払い、銀座の化粧品店で香水を3種類を買ってラーメンを食べてから洋菓子店でショートケーキを5種類買い青龍ビルに向かった。


 丁度酒屋のトラックが付いたところだったので酒屋の兄ちゃんと酒をビルの中に運び込んだ。


 次に俺は玄太さんのところに青龍忍軍の武器を借りにいった。


「小太郎さんどんな武器をご所望ですか?」

「忍軍の主要な武器は刀だろうそれを見せて欲しい」


 結局俺は3種類の忍刀と小太刀と苦無くないを玄太さんから借りて大量に買った酒と一緒に収納に入れて異世界に転移した。




「婆さんいるか~、会いにきてやったぜ」

魔道具屋の大魔女ソフィーの店に転移した俺は大声で叫ぶ。


「ハナタレ小僧の勇者が騒々しい、もう少し静かに出来んのか」


「悪いな婆さん今日も欲しいものと聞きたい事がある」

「欲しいものはなんだ高いぞ」


「いきなりそれか、それじゃ先にこれを見てくれ」

俺は香水を一瓶渡す。


「ほう、綺麗な瓶じゃの、、おうこれは香水か初めての香りじゃが良い香りじゃ」

「そうだろうこの国のお妃様でも手に入らないものだぞ」


「シンジお前はラッキーな日に店に来たもんだ。偶然にも今日は大安売りの日だ。

何でも特別割引じゃ、好きな物を選んでおくれ」


「そうだったのか俺も運がいいスキルオーブが欲しい」


「先日もやったろう、そうポンポン出て来るような物じゃないぞ」


「実は婆さんみたいな若くてかわいい女性用の香水も持ってたんだ、これなんだけど」


そう言って柑橘系のフレッシュコロンを出し

「この大陸のどのお姫様も持っていないものだけどソフィーはいらないかなぁ」


「偶然にも昨日貴重なスキルオーブが入荷したばかりだったわ」


「で何のスキルオーブが有るんだ?」


「火・風・氷・雷・土の5種類じゃが雷と氷は貴族様の注文の品じゃから駄目じゃぞ」

「その駄目な氷と雷が欲しいんだが無理を通すためにこれをやろう」


 俺はクライブ・クリスチャンのNO1 インペリアル・マジェステイの限定品でバカラ製クリスタルボルトに18金と5カラットのダイヤモンドがあしらわれた香水を婆さんの目の前に差し出した。


 銀座の高級店で一番高い香水と言ったら出されたもので2700万円もした。


「これは2度と誰の手にも入れる事が出来ないまぎれもなく世界最高級の世界唯一の香水だ。 

 値段をつけられるか?ばあさんならこの香水の凄さがわかるだろう」


「・・・・・確かに素晴らしい。白金貨1,000枚(100億円)でも買い手は簡単に見つかるだろう、見るからに素晴らしいものじゃな」


「それをやるから貴族様には次入荷したら渡す事にすればいいじゃんか」


「んんんんんんんたしかになぁ~、じゃがなぁ~」

「煮え切らない婆さんだ。これ以上は無いからな」


俺はイチゴのショートケーキを一つだして


「ソフィーさんよ、これは俺が独り占めしようとしていた女神様が食べるデザートだ。これを食ってみろ」


「話は変るがシンジ聞きたい事とはなんだ」

「黒い炎で対象物が燃え尽きる迄絶対に消えないと火魔法の対処方法を聞きたい」


「美味いなーこれは、黒い消えない炎の情報はかなり貴重じゃからなぁ、もう一つこのショートケーキを出してくれたら今日のお前の望みは全部叶うじゃろう」


 俺は追加で2種類のショートケーキを出した。


「黒炎の対処法は無いとされているが・・・」








 







 





























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