第6話 異世界で情報取集


「黒炎の対処法は無いとされているが・・・」

「もったいぶるなよ婆さん俺はスキルオーブを貰えば後は何もいらないからさ」


「ほんとだろうな金はいらんとな」

 婆さんはケーキを口に運びにやりと笑う


「黒炎の対処法は以前から無いとされとるが、儂の姉のナタリーなら知ってるはずじゃ隣国王都におる」


「婆さんの姉さんじゃ生きているか分からんだろう」


「ナタリーはハイエルフじゃからな1,000年生きるじゃろう。

隣国バルボア王国で大賢者ナタリーと聞けばすぐわかるはずじゃ、興味の無い事には一切見向きもしないかわりものだ。

 紹介状は書くが珍しい人形と魔道具には興味を示すだろうから準備していくといいじゃろう」


「有難う婆さんそれじゃ特別にこれもやるよ」


 俺は残りのショートケーキ7個を出し日持ちしないから今日明日中に食えよと言うと。

 婆さんは雷と氷のスキルオーブ難しい顔をしながら差し出した。


「婆さん次回はお土産でショートケーキを持って来てやるから心配するな。それと3本目の香水は婆さんの見立てで以上の品だから安心しな」


「そうか小僧にカモにされたかと思ったがWin&Winじゃったか安心したぞ」

「じゃあな又来るよ」


 ソフィーの店を出た俺はその足で鍛冶屋のナグレの店にむかった。

 ナグレはこの町の鍛冶屋ギルドのマスターもしている。


「爺さん居るか~、お~いナグレ」

「勇者様、ナグレ様は徹夜続きでしたので今日は未だやすんでおられます」


「そうかわるかったなぁ、じゃ一つだけ俺の願いを聞いてくれ」

「何で御座いましょうか?」


「この瓶の口をナグレの鼻先に近づけるだけだでいいから頼むよ」

「わかりました」


 間もなくナグレが角瓶のウイスキーを加えながら出て来た。


 

「何だシンジ仕事だったら今はしねえぞ」


「そんな冷たい事いうなよナグレ俺達の仲じゃないか」


「どんな仲だよ知らね~な、この酒はうまいから貰っとくけがな」


「そんな冷たい事言っていいのかナグレ、実はこの大陸の王様達がどんなに頑張っても飲むことが出来ない神の酒を持っているんだが、要らないのなら帰るぞ」


「シンジせっかくいい酒を持ってるなら飲ませろよ。俺達の仲じゃないか」


「笑わせてくれるなナグレ、まっいいかこれを飲んでみろ、一口だけだぞ」


 ショットグラスをナグレに渡して30年物のウイスキーを注ぐ。


「カッハッー、美味い素晴らしい喉越しに余韻と味わいだ。これが神の酒か」


「一気でなく味わって飲んでも旨いぞ」


「分ったよ仕方ない受けるよ仕事。何が欲しんだシンジは」


俺は直ぐに玄太さんから預かって来た忍軍の武器をナグレに見せる。


 3種類の忍刀はそれぞれ20本で計60本ミスリルで。

 小太刀は60本もミスリルで。


 それぞれの鞘は木製で構わないが目立たないように黒系の艶消しで頼み、

 苦無くないは魔鉄鋼で最低500本で1,000本を目標に1週間で頼むとお願いしてみる。


「随分無茶な注文だな、しかも期限が1週間じゃ材料のミスリルが間に合わねえよ」


「ミスリルなら俺がインゴットで持っている100㎏も有れば足りるか?」


「少し在庫も有るからそれで充分だが、他のお館連中がなんというか」

「それじゃこれで無理を言ってくれ」


 俺は持って来たウイスキーでナグレの店を埋める。


「おおおおこんなに貰ってもいいのか、注文は間違いなく受けた1週間後に取りに来てくれ」


「代金はいくらだ、目安でもいいぞ」


「ミスリル持ち込みだからな金貨600枚という所かな、苦無くないがどれくらいの数出来るかわからないから、返金する場合も追加でもらう場合も考えておいてくれ」


「とりあえず手付で金貨500枚置いておく残りは引き渡しの時にな、では頼んだぞ」

「ああみんな腕はいいから任せておいてくれ」



 ナグレの店を出て少し通りを歩くと見慣れない店が目についた。


【 錬金術 ロトの店 】


「邪魔するよ、錬金術の店がここに有るとは知らなかったよ」

「いらっしゃい、今月出来たばっかりですよ勇者様」


「えっ、俺の事知ってるの」

「この町で勇者様の事知らない人はいませんよ」


「そうか、此処では魔核の加工もやってくれるのか?」

「私はやったことが御座いません、魔核自体滅多に手に入るものじゃ有りませんもの」


「そうかそれで物はこれなんだが出来そうか?」

俺はホワイトドラゴンを倒した際に手に入れた魔核をロトに渡して見せる。


「これがドラゴンの魔核ですか美しいモノですねぇ、少しお待ちください魔力を流してみます」


 ロトは5分程魔核をいじりながら顔を上げた。


「魔石より遥かに魔力の通りがいいのに加工しようとすると物凄く抵抗されます」

「それで、出来そうか?」


「私はこの国で3人しかいない特級錬金術師の次の1級錬金術師です。最近なったばかりで、時間は少し頂きますが是非やらせて下さい。何に加工すれば宜しいですか?」


「指輪は必ず欲しい、追加でイヤリング、ペンダントだ。出来れば指輪は派手にならずに、イヤリングは付ける本人を引き立てる美しさを、ペンダントは誰もが従うような存在感を出すような感じで」


「さすが勇者様、そこ迄細かくさらに抽象的に注文を受けたのは初めてですがやってみますね」


「悪いな、俺はアクセサリーの類は魔道具しか知らなくてな、女性にプレゼントなんか一度もした事が無いんだ。あんたのセンスに任せるよ」


「多分先程お話されたような素敵な方なんでしょうね、任せておいてください。 他に地金や飾りつけ用の石に注文は御座いますか?」


「他にも使うんだ、知らなかったよ。それじゃ俺が持っているのを色々出すから後はロトさんに任せるよ」


「特急錬金術師ロトのセンスは最高ですのでお任せあれ」


俺は収納から オリハルコン・金・銀・白金・ミスリルのインゴットとダイヤ、ルビー・サフアイア・エメラルド・・・・・


「勇者様ストップです、これ以上出して頂いても私のセンスでは対応出来ませんのでとりあえずこれで結構です」


「そうか加工期間も料金もロトさんに全て任せるけど時々覗きに来てもいいか?」


「もちろんです。ポーション等も造りますのでよかったらお買い求め下さい」


「それじゃとりあえず上級を100本・中級を100本・下級を500本を頼むよ。特級も欲しいけど作れる?」


「特級ポーションも造れるのですが、お店を出したばかりで材料を買うお金が無くて今はむりです」


「それじゃ金貨1,000枚預けておくからこれでお願いして、とりあえず来週近くに来る用事が有るからその時様子を見に来るよ」


「カッカかしこまりました来週お待ちしています」




 俺は東京のマンションに転移して翌朝を迎えた。


『主さん今日は予定がありんすか?』


 魔道具の指輪を伝って椿さんの声が頭の中で聞こえた。


『高野山に仏像を見に行きますが』

『高野山でしたらわらわも一緒に行くでありんす』


 間もなく椿さんが俺のマンションに転移して来た。


 カジュアルな服装だが何処かの美人芸能人より輝いて見える。


「おはよう椿さん、高野山に行く前に渡したい物が有るんだ」

「何でありんしょ?」


 俺は2個のスキルオーブを取り出し椿さんに見せる。


「力を感じる石でありんすが、どういった物でありんしょ」


「雷と氷のスキルオーブで氷魔法と雷魔法を使えるようになるから魔法を椿さんに身に付けて欲しいんだ」


「その魔法でわらわに主さんと一緒に戦えと、嬉しいでありんす」


「いや、違う椿さんにはこの魔法を自分の身を護るときに使って欲しいだけだ、俺が一緒に居られない時に敵に襲われても対処できるようにだ」


「余計に嬉しいでありんす」


 氷魔法と雷魔法のオーブを吸収した椿さんは


「体の中に何か新しい物を感じるでありんす」


「少し練習が必要だろうからあとで一緒にやろう、まずは今日の用事を終わらせてからだ」

 

「では主さん早速参るでありんす」


 転移した先は鬱蒼とした木々に囲まれた寺で寺の周りだけが開けていて道らしい道も無い。


「ここは何処なんですか椿さん」

「高野山奥の院の奥にある寺で興山寺こうざんじ廃寺となったとされている寺でありんす」


 俺たちの気配を感じたにか訪ねていく前に一人の坊さんが現れた。


「これはこれは椿様お久しぶりでございます。よくおいで下さいました」

「観賢殿久しいえ、元気そうでなによりでありんす」


「主さん此処は高野山の中にある数少ない本物の場所でありんす」

「へえ~本物とか偽物とかあるのか、知らなかった」


「主さん、観賢殿は興山寺の住職で最強の退魔師でありんす」

「観賢殿、こちらはこの曼荼羅最強の人間でありんす」


「おおおお、それは素晴らしい人を連れて来てくださった。中で茶でも飲みながら話を」











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