第4話 白虎家

 翌日、朝から白虎家元当主 白虎 剣山の話を聞いていた。

 剣山の話を聞いているのは玄太・椿・神月・俺の4人だ。


「息子の剣暁けんぎょうが屋敷に女を連れて来たのだがそれがいい女でな。

しゃぶりつきたくなる程だったよ、名前はメグと名乗っておった」


「剣山おんしのエロ話は要らないでありんす」


「今考えるとそれ以降の儂は記憶が無い、ずっと頭にかすみがかかって夢を見ていたような気がするがまさか、20年も経っているとはな不覚じゃ。

 しかも知らない間に身体全体がしょぼくれて、これでは女を抱けるか不安じゃ椿さん一度椿さんの身体で試させてもらえんかのう」


 次の瞬間には剣山の爺さんが目の前から消えた。


「剣山の爺さんは何処へ行ったんだ」


「声も聞きとうありんせんので土佐の投入堂に入れたでありんす」

「・・・・・・・」

「・・・・・・」

「・・・」


「爺さんの話からすると20年前からメグという女性に操られている可能性がありそうだな、今夜にでも調査してみるか」


「多分そのメグは朝鮮の妖狐でありんしょ。もしそうなら剣暁けんぎょうの命もいつまでもつか分からんでありんす」


「どうでしょう現状を把握する為に守護4家をはじめ、日本の重鎮達を私の回復祝いのパーティーを開いて招き見分してみては」


「それは良い考えでありんすな」

「では武田、パーティーの段取りをお願い」


「かしこまりました、2週間後を目途に準備をいたします」

「お姉様の件はどう致しましょうか?」


「未だ伏せていたおいた方が良いでありんす」

「そうだなその方がよさそうだ」


「それじゃ俺は白虎でなく蟲毒を追ってみようかな」

「主さん蟲毒は朝鮮辺りの敵と違ってかなり危険でありんす」


「一応それなりの準備はしてあるから心配はいらないよ。

 そうだ忘れてた渡す物が有ったんだ」


「勇者様何で御座いますか、私も何かいただけるのでしょうか?」


「神月に状態異常無効のペンダントと物理攻撃無効と更にリフレクションの機能があるブレスレットだ身に付けてくれ」


「ありがとうございます勇者様、私の為に貴重な物をよろしいのでしょうか」


「ああ様子をみて足りない物が有れば追加で用意する」


「シンジ様これは昨日渡しそびれた現金1,000万円とクレジットカード、それにマンションのカード鍵です。

 マンションの場所はこちらの紙に、それとクレジットカードの名義はおそれながら武田 小太郎になっております」


「ありがとう玄太さん」


俺は玄太さんに用意してもらったマンションの部屋で椿さんから話を聞いていた。


「椿さん蟲毒に関して出せる情報が有ったら教えて貰えないか」

「当然教えるでありんす」


 蟲毒は中国を中心に世界中で暗躍する殺人ギルドで、本部の所在や構成員の人数、主宰を含めた幹部の顔も名前も一切分からない。


 以来の成功率は99.99%で今回の神月が掛けられた呪い等も含め、殺しの手段手法も数限りないとされている。


 神殺しでさえ対価を払えば受けるとされ、神を殺す力をも持つ凶悪な組織とされているようだ。


「ただ、四凶という存在が噂されてるでありんす。バチカンもその四凶に手を出して敗れたと噂されてるえ」


「中々の相手に思えるがどうしても蟲毒や四凶といえど魔王やバハムートより強いイメージが湧かないが」


「主さんの相手の強さを図る物差しがその経験した長さ以上無いからでありんす。主さんは人知を超えた強さを持っておりんすが油断は絶対にダメでありんす」


「有難う心配してくれて、蟲毒以外注意しなければいけない敵は居るのか?」


「中国の他はインド、アメリカ、アラブ、ロシアも中国と同じ様に注意が必要でありんす。

 主さんの戦いのスタイルで一番不利になるのがアメリカの軍事科学兵器が想像されるでありんす」


「レールガン程度なら斬り落とすぞ」


「レールガンをですかそれは凄いでありんす。でも、光の速さで攻撃してくるレーザーやメガ粒子砲、特にメガ粒子砲は厄介でありんす」


「空想上の兵器で無いのか?」


「既に軌道衛星に実戦配備されていて、間もなくは携帯できるメガ粒子銃が完成するでありんす。

 主さんがいくら強くても敵の攻撃を感じるより早く主さんが消滅してしまうでありんす」


「それはやばいな対応策を考えておくよ」

「ほんとにメガ粒子砲でも対処出来るでありんすか?」


「今すぐは無理だが少し時間をもらえば可能だとおもうよ」

「それは凄すぎるでありんす」


 そう叫ぶと椿さんは俺に抱きついて耳元で呟いた。

「絶対に死なないでおくんなし」




「さっき渡し損ねたけどこの指輪をつけていて欲しい」

「死ぬほど嬉しいでありんす」


「いや、この指輪はいつでも俺と話せる指輪だ。盗聴の危険も無いし念じれば地球上のどこにいても話せるはずだ」

「やっぱり嬉しいでありんす」



 俺はその日夜から蟲毒の探索を始めた。


 東京上空3,000ⅿ


≪ サーチ蟲毒メンバー ≫


 赤い点となって蟲毒メンバーが3か所表示されそれぞれの場所に5・6人が集まっているようだ。

 

 3か所の内で海に近い場所にある所に静かに降りていくと3階建ての小さなビルで2階の一部屋だけ明かりが付いている。


 ビルの入り口に防犯カメラが見えるし、建物内にも小型カメラがあるかも知れないので、まずはビルから離れた所から入り口のカメラを壊す。


≪ バレット ≫


 つぶてが入り口のカメラを破壊するとほぼ同時に2階の部屋の明かりが消えた。

 気配を探ると4人が明りの消えた部屋から外を警戒するように動き出し、一人が1階に降りて裏口から抜け出した。


 俺はアイスプリズンで建物の中の4人ごと凍らせた。


 すぐに上空に上がり逃げた一人を追うとその男は300m程離れた所に止めて有った車に乗り込んで移動を始めた。


 俺は空から静かに車を追跡すると、車は高速に乗り最終的に1時間半かけて高尾山に近い山の中にある小さな小屋の前に止まった。


 小屋の中に男は入って行くので気配を追うと男の気配が薄くなりやがて消えた。

結界を張る地下にでも潜ったかと考え、サーチで探りを入れた瞬間相手に気付かれた。


『ヤバイ攻撃される間違いなく強者だ』


 俺は黒い魔力弾らしきものを辛うじて躱す事が出来たが状況はよくない。


 俺には相手が見えていないのに相手から攻撃を受けた。

 あきらかに不味い状況だ。

 

 俺は高尾山上空から全力で山梨方面に飛び甲府市上空で転移で都内のマンションに帰ってやっと一息ついた。


 ソファーに深く腰を下ろし先程のやり取りを思い返してみた。


 ・気配を消していた俺に気配感じさせず上空に居る俺が攻撃を受けた。

  多分空中移動で魔力を感じ取られたと予想出来るが定かではない。


 ・魔法攻撃だと予想出来るが何魔法か分からなかった。

  イメージで一番近いのは神月が掛けられた呪いの類・黒魔法か?


 ・受けた殺気は魔王軍幹部の魔人クラス

  誰も姿を知らない蟲毒の幹部か?


 『まっ強敵には違いないが、これくらいはやって貰わないと面白味がないか』


 相手を甘く見るなと釘を刺されていたがホントにそうだと考え直して風呂に入ってその日を終えた。


 翌日に昨夜の事を椿さんと玄太さんに報告する。


「昨日の夜、蟲毒のメンバーが5人が居るビルを少しいじってみたよ」

「もしかして晴海で謎のビル爆発が有りましたが小太郎様が関係してましたか?」


「多分それだが俺は爆発させてないぞ、一人を逃がして後をつけると高尾山の近くに逃げ込んだので探ろうと思った瞬間、上空にいる俺が攻撃を受けたのでかなり驚いたよ」


「高尾山に蟲毒の拠点がありんしたか、初めて聞きましたえ」


「拠点の規模は分からんが、攻撃してきた奴は俺が地球に来てから見た奴で段違いの強さを持っているとおもうよ」


「それはもしかして」

「未だ分からないが四凶の一人だという可能性がある」


「まさか日本に来ているのか四凶が」


「最悪も踏まえて今夜会う青龍忍軍のみんなには少し強くなってもらわないといけないな何人集まるんだ」


「47人で御座います。海外に出向いている者は不参加にさせて頂きました」

「玄太さんも参加するかい?」


「当然でございます」


 夜、青龍ビル3F訓練所はバスケットコート2面をゆっくりとれる広さがあった。


青龍忍軍を前に俺は偉そうに前に立って話した。柄にない事は妙に背中がこそばゆいが仕方無い。






 

 













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