他山の石

ヤマシタ アキヒロ

他山の石

カク○ムという場で

作品を投稿すること


それはとても得難い

不思議な体験である


日本中から選りすぐりの

読み手・書き手たちが


即日作品に目を通し

幸運な場合は

コメントまで寄せてくれる


(海外からの参加者もある)


そもそも彼ら自身が

とてつもない

書き手なのである


すぐれた

読み手であることに

疑いはない


Web小説という舞台が

本当に存在するかは

一抹の不安が残る


しかしそれは


目を閉じれば

自分以外の人間が


すべてアンドロイドかも

しれないという


中学生の不安に似ている


自分に手足がある以上

画面の向こうの人々も

呼吸しているのであろう


ある人によれば

Web小説という場は


「新しい文壇のかたち」

であると言う


むかし芥川や谷崎たちが

丁々発止議論したように


もっとも高度な魂の交流が

この舞台には存在する


それに

こんなに目の肥えた読者に

自作を読んでもらえる機会は


一生のうちで

そうそうないかもしれない


思う存分その幸福を

味わおうではないか


しかしながら

バーチャルな文壇は

言葉だけが頼りである


願わくは

より一層の言葉たちが

互いに磨かれんことを


        (了)

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