13話
あれから3日が過ぎ、私は戦いに飢えていた。期待はしていなかったがやはり相手が弱すぎたため憤りを感じていた。私は強い人間と戦わなければ強くなれない。もっと鍛錬しなければ強くなれない。何か起こらないものか…
ヒュン、ヒュン
修練場にて私はひたすら刀を振る。形、あしはこび、身体の脱力、身体の軸を真っ直ぐにひたすらに切り下ろし、戻し、切り下ろす。そう繰り返すこと3時間これを朝5時〜8時までやる。これを毎日欠かさずやっている。
「ふ〜っ…そろそろ出てきたらどうですか桜様」
「!…気づいていたのか」
「さっきから入口で覗いていらっしゃいましたよね。流石にわかりますよ」
この人はあれだ…多分天然ってやつかもな
「何用ですか?」
「前の試合の時、私に期待はずれと言っただろう。どの部分が駄目だったのか…教えてくれないだろうか…」
「全てです」
「……そんな事…」
「説明させていただいてもよろしいですか?」
「!…あぁ、頼む」
「剣道と剣術の違いは分かりますか?」
「何が違うんだ?」
「…剣道は多い敵を相手にするのが難しいんですよ。剣術は色んな多い敵を相手にすることもできれば一対一の場合も戦えます。応用が効くと言えば分かりやすいですか?それに相手を攻める際動きが大きすぎる為、実戦ではすぐ死にますよ」
「…ではどうすればいい」
「長年の動きは中々直すことはできません。まず素振りからやって見てはいかがでしょう」
「素振りなど何度やってきたと思っている」
「では、この巻藁を切ってみてください」
私は桜様に巻藁を切るよう促した。
「いいだろう」
桜様は修練場にある刀を一振り持ち、鞘から抜き青眼で構えた。
「ハッ…」
桜様が刀で巻藁に斬り掛かったが…
「何故切れない」
「力みすぎ、叩きつけすぎ、脱力がてんで駄目、貸してください」
私は刀を桜様から貰い巻藁を斬った。
「刀は切りきる事、斬った時は柄頭を丹田まで持ってくること、刀は縁を描くように切り、刀の重さと重力で斬る、脚は刀となるべく同時にだすようにすること、止める際は手は最後だけ手を少し絞ると自然に刀は止まります」
「それに何の意味があるというのだ」
「剣道のような素振りは刀がすぐに折れてしまい。戦いでは武器なしで敵を相手にしなければなりません。剣術は素振りを極めれば刀は長期戦も可能とする。こう言えばわかりやすいですか?」
「…なるほど」
「申し訳ありませんが、私はそろそろ静華様の護衛につくお時間になりましたので失礼致します」
私はそう言い修練場を離れようとした時
「待ってくれ」
「なんでしょうか」
「明日の修練を…その…見に来てもいいだろか?」
「邪魔をしないのであれば好きに見ていただいても構いません」
「…あぁ、礼を言う」
「でわ、失礼します」
静華様の部屋〜
「やぁ、遅かったね暁仁」
私は何故か静華様の前で正座させられていた。
時間通りに来たはずなのに何故か私は怒られている。何より静華様が拗ねてらっしゃる。
「護衛の時間にはちょうど間に合ってると思うのですが…」
「いいかい暁仁、僕はどんな時も君と長い時間を過ごしていたいんだ。これからは、今の時間より1時間前に来て僕と一緒にいる事」
「まさか、桜様と一緒にいた事に嫉妬しているんですか?」
「……そんな事ないもん」
「は〜っ、今日一緒に寝れば許してくれますか」
「うん、それなら許してあげる」
「今日は学校の日ですよね。私はついて行く事ができませんのでくれぐれもお気をつけ下さい」
「わかってるよ。暁仁は今日はどうするの?」
「私は組織内の会議に参加しなければなりませんので今日の帰りは夕方頃になりますかね」
「組織の本拠地って何処にあるんだい?」
「ここ、京都ですよ」
「えっ!」
「車で20分です」
「近い」
そんな話をしていると襖から東凱殿が顔を出した。
「姫様そろそろお時間ですぞ」
「わかったよ。じゃあ行ってくるね。暁仁」
「えぇ、いってらっしゃいませ。静華様」
静華様が車に乗り学校に行くまで見送ると私は組織の本拠地に向かうのであった。
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