12話
私は気まずいと思いつつ、一条家姉妹の後ろをついて行く。
「静華アイツと婚約したと聞いたが大丈夫なのか?」
「急にどうしたんだいの姉さん?」
「お前は和光の事が好きだったのではないのか?」
「あの人の事は、もうどうでもいいんだ」
「だが何でよりにもよってあんな奴を選んだ。完全にお前とは不釣り合いじゃないか」
ごもっとも、否定の仕様がない。何しろ私自身がそう思っています。
「どこが?」
鏡を見比べてみたらあら不思議…
「死んだような目をしているし、身体は鍛えているが、顔はいいわけではない。そもそも吉備家に拾われた養子だぞ、何処がいいと言うのだ」
私が言いたいことを全て言ってくださる桜様…静華様の事がきっと大切なんでしょうね。
「姉さん、流石の僕でも怒るよ。暁仁は僕の物、絶対手放したりなんかしない。それぐらい彼の事が好きなんだ…僕が好きだから婚約した。何が駄目なんだい!」
「っ…!」
「おい、貴様」
「なんでしょうか」
「妹に洗脳でも施したのか?私は貴様を認めなどしない。清姫を倒したのも藤助殿に助力でもしてもらったのだろう。似非1級陰陽師」
違います。婚約の事はいつの間にか決まっていて、今日初めて聞かされました。でも、静華様のあんな顔は見たくないな。
「ご想像にお任せいたします」
「っ…静華、私は父上と母上に挨拶をしてくる。先に広間で待っていてくれ」
桜様は静華様にそういい残し、座敷に向かった。
「姉さん…」
「静華様」
「暁仁、ごめんね。姉さん本当は優しくて、強い人なんだ。普段はあんな人じゃないのに…」
「私は気にしていませんよ。静華様が心配な優しい姉君じゃあないですか」
「あんなに言われたのに気にしてないの?」
「何か理由があるのでしょう。それに、婚約の事は今日知りましたけどね。静華様の言葉は嬉しかったですよ」
「!…そ、そっか、…ありがとう」
「いいえ、それよりも広間に行きましょうか」
「うん」
広間にて〜
「桜お帰り」
「お帰りなさい桜」
「姉さんお帰り」
「桜様立派になって…グスグス」
「東凱泣きすぎだぞ、皆ありがとう。久しぶりに会うことができて嬉しく思う」
家族と話す時は笑顔で話すんだな…
「母上、お話があります」
「どうされました?こんな祝いの席でそんな険しい顔をして」
「母上はどうして静華の婚約者をこんな男にしたのですか?」
「納得いかないと」
「はい」
「いいでしょう。貴方が彼に同じ剣士として戦って勝てたのなら要求を呑みましょう」
「姉さん…まだ、そんな事を言っているのかい」
「言ったはずだ。私はあいつを認めない」
「暁仁、試合してあげてくれる?僕、我慢の限界だよ」
「…いいですよ」
「それでは、修練場に行きましょうか」
そういえば冬馬様が全く話されていなかった。完全にいないものとして扱われている可哀想すぎるだろ。女性って怖いな…私もああなるのか?
私達は屋敷の屋外にある修練場に向かった。
「貴様の化けの皮を剥がしてやろう」カチヤ
何故真剣を持ってらっしゃるんだこの人
「お前も武器を持て」
「すみません。八恵様、ここの修練場に置いてあるものは使ってもよろしいでしょうか?」
「…!えぇ、許可します」
「貴様舐めているのか!私は真剣なんだぞ」
私は修練場にあった30センチ程の木刀を構えた。
「そんな小さい木刀を使うつもりか」
「流石に壊れやすそうな木刀でないと桜様が危ないので」
「私は2級だぞ貴様などに負ける道理などない」
「…話すのが試合なのですか?」
こいつ、雰囲気が変わった何なんだこの男は冷や汗が止まらない。
「剣道ですか」
「何か文句でもあるのか」
「いいえ…始めましょうか」
「では、始め!」
「へっ…?」
私は開始と同時に静華様の片方だけ出ている右脚に木刀を添え、そのまま崩して喉元に木刀を添えた。青眼の構えのまま動きながらこちらの様子をみようなど私からしたら棒立ちしてるも同じ。剣道は基礎を守ろうとしすぎるから弱い。やはりそれなりの年期の入った剣士でなければ剣術には勝てない。
「私の勝ちですね」
「もう一回だ…」
「は〜ぁ、もう一回ですか。貴方がこれから強くなりたいなら覚えておくとよろしい。殺し合いにもう一回なんてないんですよ」
「くっ…私の負けだ…」
「勝者・暁仁」
「暁仁、姉さんは強かったかい?」
「剣士として言わせていただくと期待外れです」
「そっか…」
「部屋に戻らせていただきます」
「えぇ、すみませんね暁仁」
「いいえ、八恵様お気になさらず」
私は一人部屋に戻った
「静華、教えろ彼は何者なんだ。彼の過去をみたんだろ」
「それは、暁仁に直接聞いたらどうなの?姉さん」
「それもそうだな…彼は会ってくれると思うか?」
「暁仁は気にしてない様子だったよ」
「そうか」
「一つ教えてあげる。暁仁は一ヶ月後、特級になる予定だよ」
「!…それは本当か」
「藤助さんにそう聞いたから間違いないよ」
「………」
「頭は冷えたかい姉さん」
「あぁ、お前が心配だったんだ。それであんな酷いことを言ってしまった…すまない」
「姉さんは今も本音を話してくれないんだね」
「静華…?」
姉妹の感情はどんどん離れていく、その両親はどうするべきわからずにその光景をずっと眺めていた。
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