3話
私達3人は会計を終わらせ店を出た。
「いやぁ~、ありがとうとても美味しかったよ」
「暁仁殿御礼申し上げます」
「いえいえ、満足していただいてなによりです。
「御二人に頼みたいことがありまして」
「なんでしょか?」
「その認識阻害解除していただいてもよろしいでしょうか?」
「「!…」」
「なんで認識阻害だと思ったの?」
「私は、これでも1級陰陽師です。その私が姫様の気配に気付かなかったということ、何よりあなた方が老人と少女とわかるのにあなた方の顔を認識できていない事に気づきました。目では理解しているのに脳で理解できていないだからあなた方の容姿を私は認識できていない。その認識阻害、現陰陽庁長官安倍幸蔵様が製作した物と見ました。どうでしょうか?」
「その通りだよ」
「認識阻害は、耳についているピアスですかね」
「見えてるの?」
「いいえ、ただ顔の認識阻害となると常に身につけられるものだと思っただけですよ」
「私も幸蔵様から認識阻害のついた品をいただいておりまして、といっても声を変えるだけであなた方のように顔全体ではありませんがね」
「わかったよ」
そう言って静華様は耳についているピアスをとる。
「東凱殿は…頭に髪がないのですね」
「失礼ではありませんか?」
そこには頭がツルッとした目の下のシワが特徴的な老人が立っていた例えるならブルドッグのほっぺたを切り落とした感じの男性だ。
「さて、静華様は…えっ……」
「どうしたの?」
そこには黒髪が似合う長髪の少女がそこにいた。一言でいうなら美人が似合う少女がそこにいた。大和撫子とはまさにこの事、嫌マジで綺麗なんですけど雪で耐性がついてると思ったけど近づくだけでドキドキしてきたどうしよう…
「ん?どうしたの?」
「………」
「もしも〜し、大丈夫?僕の声聞こえてる?」
「はっ!…聞こえていますよ」
「…もしかして見惚れてた?」
「…そんな事はありません」
「注意事項が一つありますよ。認識阻害は一度認識された人間には効きません。お気をつけを」
「わかったよ。それより話そらしたよね君」
「……さぁ、案内をお願い致します東凱殿」
「えっ、えぇ…かしこまりましたご案内いたしましょう。」
「えっ、無視ひどいな」
私は気持ちを落ち着かせ東凱殿についていく。静華様は、私の顔を見ながら何故か隣を歩く正直やめてほしい。そう思っている時にいつの間にか一条家の屋敷についていた。
「……でかい」
「そうでしょう」
そこには、広大な敷地が広がっていた。前行った大型ショピングモールをみている気分だわ。
「さぁ、どうぞお入りください」
「失礼いたします」
「ただいまー」
「「おかえりなさいませ」」
「綺麗な屋敷ですね」
屋敷の庭には雑木林だけでなく桜の木など沢山の植物があり、ここの当主が花や植物が好きなのがよくわかる。
「さぁ、暁仁殿当主様がお呼びです」
「わかりました。行きましょうか」
「僕もついていくよ」
私達3人は一条家当主のもとえと向かった。
「ようこそおいでくださった」
顔のいい優男が一条家の広間にて私をそういって迎え入れた。目がキリッとしており、当主にあった風格を感じられた。
「お初にお目にかかります。吉備藤助が養子、吉備暁仁と申します」
「私は、一条家現当主一条冬馬です」
「本日から、姫様の護衛につかせていただきます。宜しくお願い致します」
「えぇ、噂はここまで届いております。12歳で1級陰陽師に合格した怪物だとか…」
「はい、おかげさまで」
「藤助殿はお元気か?」
「はい、それはもうピンピンしております」
「ハッハッハ、藤助殿らしい…さて、本題に入らせてもらおうかな?」
「うちの静華について何処まで聞いておられるかな?」
「六感を生まれつき所持されているとのことは私の義父から聞いております」
「六感の内容までは?」
「いいえ…伺っていません」
「そうか…」
「僕の六感は相手の過去と未来を見通す能力だよ。といっても条件があるんだけどね。」
「静華!」
「それは…本当ですか?」
「…はい本当です」
「それは、危険ですね」
「えぇ、お陰で何度か襲撃にあっておりまして」
「誰が目星はついているのですか?」
「いえ、犯人の姿形もわからずにいます。ただ襲撃された場所に呪いの力が残っておりまして恐らく呪術師ではないかと」
「姫様は今までどうやってやり過ごしていたのですか?」
「現陰陽庁長官である安倍幸蔵殿にご協力いただき静華の部屋には防護結界が張られているため悪意あるものの侵入を阻んでおります」
「なるほど」
だから幸蔵殿の認識阻害入りのピアスを所有していたわけか…
「しかし…過去と未来どんな条件か知りませんが、どの勢力にも狙われるわけですよ」
「はい、この子を気味が悪いとの事で近づく人間も少なく、困ったものです」
「護衛が少ないのもそれが理由ですか?」
「!…気付いておいででしたか」
「えぇ、六感に目覚めている名家の令嬢が護衛なしで街中をウロウロしているのは明らかにおかしいですからね」
「静華…」
あぁ、父親には黙っていたみたいだなこの反応からするに…どう見ても呆れ果てた顔をしている。
「てへっ」
笑顔でその顔はやめていただきたい本当に可愛いからやめてほしい。
「…それで相談なのですが」
「なんでしょうか?」
「一年静華の護衛を引き受けてはくださいませんか?勿論、藤助殿には許可を取っています。」
あのバカ師匠勝手決めやがって組織の仕事と両立しろと?私を過労死させたいんですかね。あの人は…私が断れないのを見越しているんでしょうね。どうりで終わったら特級になるわけですよ。
「…わかりました。お引き受けします」
「ありがとうございます」
「それでは、私はこれで失礼いたします」
「?…どこへ行くのですか」
「ホテルに荷物を置きにいくつもりですがなにか?」
「もしかして聞いてないの?」
「?」
「君は今日から一年、家に泊まり込みだよ。つまり僕と一緒に住むってこと」
「……………は?」
私は間抜けな声を漏らすのであった。
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