10話

一方陰陽庁では…狩衣姿の白髪交じりの長髪の男性が廊下を急足で歩いていた。


「状況は?」


 彼は陰陽庁長官安倍幸蔵、特級陰陽師の1人である。


「現在、周辺の避難勧告は完了、現地に向かう陰陽師を編成しております。」


「遅いぞ、1級霊災相手は2級〜3級の怪物下手をしたら特級陰陽師を向かわせねばならないんだぞ」


「す、すみません。ただ、ほとんどの陰陽師が任務で龍災の件もあり不在にしていまして、すぐに向かわせることができません。」


ドン「くそっ…現場の映像は映せるか」


「今衛星にてアクセスを確認、残り3分で完了します。」


「レーダーにて反応でました…!これは成龍です」


「何だと、何故成龍が1級霊災に現れている」


「わかりません。し、しかも、2級〜3級の怪物が現在確認できるだけで、よっ、4000を超えています」


「4000だと!」


「な、なお現在も増加中です」


「駄目だ、これじゃあ下手したら特級の怪物も出てくる可能性がでてくる」


「それじゃあ、下手をすると…」


「あぁ、特級霊災の危険がでてくるぞ」


「特級…」


「そ、そんな…」


「大丈夫なのか…」


「落ち着け!急いで各国に連絡を」


「はい!」


「現地にて陰陽師の反応あり」


「何名だ?」


「数は3名、1名は登録あり特級陰陽師の吉備藤助様です。ただ、現地から少し離れているようです」


「吉備だと、あいつは4年前から姿を消しているとの報告が上がっているはずだが…何を考えている」


「もう一つは、過去のデータを推奨元1級陰陽師橘孝介と判明」


「1級指定の犯罪者ではないか!」


「橘孝介は霊脈近くにいることから、彼が霊災の元凶と思われます。」


「だがしかしいったいどうやって?」


「ん?」


「どうした?」


「最後の1名は登録確認できません。戸籍からの情報もでてきません!」


「何だと!」


「映像出ます」


「子供?」


「子供だと…」


「何故あそこに?」


ピーピー、ピーピー「どうした?」


「げ、現地にて莫大な氣の量を感知」


 安倍幸蔵は画面を見た。子供から尋常ならざる可視化できるほどの莫大な氣が映像に映ったからである。


「な、何なんだこれは、人にこんな量の氣がどうやって」



 一方その頃に日本中、嫌、世界中の強者達がそれを感知した。



京都のとある屋敷にて…


 「ひっ、姫様今のは…」


「あぁ…僕も今気付いたよ。これは凄いな…いったい誰だろう?」


「特級のどなたかでしょうか?」


「いいや、違う…爺今すぐに調査して」


「畏まりました。」


「もし手に入るなら欲しいな〜」


1人の少女が笑みを深めた。



関西地方のとある山…


「へ〜、こりゃぁ凄い、おい気付いてるか」


「あぁ…気付いている…お前はいったい誰だ?」


2人男はその方角に顔を傾けた。



中国地方にて…


「おひいさま…」


「これは…妾には記憶にない力じゃ…」


「手の空いてる者に探らせますか?」


「そうじゃなぁ、頼めるか?」


「畏まりました」


「場所は中部か…面白い」


1人の少女が新たな強者の誕生に心躍らせる



九州地方にて…


「これは…」


「新たな星の誕生か…」


「あぁ…」


2人の老人は新たな時代のうねりを感じていた。



四国地方…


「大変だ…兄者」


「あぁ…面白くなってきた」


とある兄弟は闘争心を駆り立てる。



東京のとある屋敷にて


「姫様!」


「えぇ…いったい貴方は誰?」


 寝起きの少女が身震いしながらまだ会ったことのない人間に問う。



 関東地方のとある屋敷にて…


「坊ちゃん…」


「あぁ、わかっているよ…」


「誰かわからないが、おめでとう」


1人の青年は笑みを浮かべて祝福を述べた



北海道では…


「どうしましたか?任務中ですよ」


「あぁ…わかってるよさっちゃん」


「どうしたんですか?」


「中部地方に現在特級陰陽師って誰かいたっけ?」


「わかりませんが、いるとしたら吉備さんじゃありませんか?」


「そうだよね」


 1人の中年男性は、ただ呆然とその場に立ち尽くした。



世界では…


「日本に新たな力がでてきたようです」


「今すぐ確認いたしますか?」


「衛星を私が指示する場所に回してください」


「承知しました」


「おめでとうございます。名も知らない方」


とある城にて王女は祝福を贈る…




これは後の満月の大祓と呼ばれることとなる。



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