4話
俺はどうするべきだろうか…止めることなんてけしてできない。そんな決定権なんて元から存在しないからだ、なのに秀一が去ると聞いてあいつらに伝えるべきか迷っている。嫌、俺が伝えるのもお門違いな話だ、これが俗に言うけして避けられない運命というやつなのか…今俺が抱いてる感情はなんなのだろうか?
「…暁仁そんな辛気臭い顔してどうしたのさ」
「い、いやなんでもないぞ優斗、ただ考えごとしてただけだけど」
「君が講義中に考え事なんて珍しいね」
「しっかりしてください、次は模擬戦の時間ですそんなままだと怪我しちゃいますよ〜」
「わかってるよ霞」
「何か悩み事があるなら聞くよ」
「ありがとう優斗、けど大丈夫だ」
「そっか、なら今のカリキュラムに集中しようね」
「おう」
カリキュラムを終え、陰陽道での模擬戦の時間になり、全員グラウンドに集まっていた。
「さて、今日も模擬戦を始めるから皆でペアを組んでくれ」
「秀一、今日は私とやりましょう」
「わかった」
「雪、すまないが俺に譲ってくれないか?」
「なんでよ暁仁」
「頼む」
俺は雪に頭を下げてお願いした。今どうしてもコイツとやらなきゃならない。そうじゃないと俺は…
「どうしても、こいつに確認しなきゃならないことがあるんだ」
「…わかった、あんたが頭を下げるなんて珍しいものも見れたし今回は譲ってあげる。何を確認したいかわ知らないけど」
「ありがとよ」
「皆、ペアは決まったかな」
「それじゃあ、最初に戦いたいペア前に出てきて」
「橘兄ちゃん、先に俺と秀一がやるよ」
「お前、何を勝手に決めている」
「何だ秀一ビビってんのか?」
「いいだろう、相手になってやる」
俺と秀一はグラウンドの真ん中へと移動した。俺は1枚の札をポーチから取り出す。
「それで確認したいことってなんだ」
「秀一、お前もうすぐいなくなるって本当か?」
「!…聞いたのか?誰から」
「嫌、昨日応接室でたまたま話を聞いてな…それで何時までここにいられるんだよ」
「来月の6月までだ」
「なんで、皆に伝えないんだよ…お前も気付いているんだろ雪の気持ちにも、優斗や他の奴らがお前を慕っているのもなのになんで肝心なことをずっと黙ってやがる…俺達は、皆同じ苦しみをもつ仲間であり…家族だろなのになんで」
「お前達には関係ない。もうすぐ俺はいなくなるんだ…それにお前だってそうだろ」
「!…聞いてたのか」
「あぁ、たまたまお前と土田さんの話が耳に入ってな少なくともお前が言えることではないだろ」
「そうだな…けど雪の気持ちには答えてやれよ」
「その必要はあるのか?」
「っ…そうかよ、じゃあ俺が勝ったら要求を一つ聞いてもらうそれでどうだ」
「…いいだろ」
俺はその札から一振りの刀を取り出した。それは、白を象徴するような美しい刀だった。
「簡易符…白刀・白鬼」
「!…暁仁くん、模擬戦で真剣は禁止だ。何を考えている」
「橘先生、大丈夫です。俺がお願いしました」
「でもっ」
「大丈夫です」
「その刀どうしたんだ」
「模擬戦後、木刀だとすぐに駄目になるから悩んでたんだけどよ。たまたま人から譲り受けたんだよ、今俺が出せる全力でお前を倒す」
「いいだろ、かかってこい暁仁」
俺は、刀に札をかざし唱える。新しい戦闘式陰陽術を刀に纏いを使用する。
「カケマクマクモカシコキ大神ヨ我が名をもって目の前敵を打ち倒さん鬼哭黒炎符急急如律令」
俺は自ら編み出した古式と戦闘式の合わせ技を使用した。白刀には似合わない黒い炎が漏れ出した
「…それは?」
「俺が編み出した荒技だよ」
「俺もそれに応えないとな…、「竜頭九重」」
「俺も今のありったけを見せてやる」
秀一の周りには水で出来た九頭の竜が出現した。これを見るだけで秀一の努力が垣間見えた。
「「いくぞ」」
九頭のうちの4体を操り、攻撃を仕掛けてきた。
俺は走りながらまとめて切り飛ばせるように誘導しつつ避ける。
ここだ…俺は刀を上段に構え「若葉流・柳」
一刀目をそのまま縦一直線に斬り伏せ、二刀目は出した右脚を引けるよう左脚を出すと共に刀上段に構え直し左斜めに斬り伏せ、三刀目をそのまま刀を翻し下から斬り伏せる。最後戻った態勢でそのまま上段から斬り伏せる、俗に言う四連撃技というものである。
「!…「炎天」 」
空から眩いほどの炎が渦を巻くように降りてきた
俺は札を出し刀を地面に突き刺し印を結び古式陰陽術を唱えた。
「火照らして国照らす天照大神」
さらなる高火力で打ち消した
「容赦しないからな秀一」
「何だ今のは…暁仁!」
「俺が今出せるありったけを見せると言ったはずだぞ秀一!」
「「土木兵」」さらに5体の兵が出現した
俺はそれを斬り伏せている内に秀一は控えさせていた一体で横から攻撃しそのままもう一頭で俺を下から跳ね上げた
「カハッ」
下を見ると5体の水竜が俺を攻撃しようとしていた
俺は鞘に刀をしまい空中で居合の型をとると同時に迫ってくる水竜…俺はそれを黒炎で消し飛ばす
「居合・黒刀」
一気に溢れ出す水蒸気の中を落下後着地膝を痛めたが蒸気の中を俺は火傷覚悟で飛び込みその間に刀をしまい。思いっきり拳を握る。
「「うぉー」」
ドカッ両者が同時にお互いを殴り飛ばした。俺が右手で顔面を殴り飛ばし、秀一が俺の顔面を左手で殴り飛ばした。
そして、お互いが地面に倒れる
「模擬戦終了、引き分けとする」
その声を聞いた瞬間俺は意識を失った…
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます