第11話

 師匠との出会いから早2週間が経過し明日から10月に移ろうとしていた現在俺はというと…


「違う、剣は脱力だと教えたはずだ剣道じゃなく剣術をやれ剣は脱力何度言えばわかる最後だけ手を少しだけ絞るように持てば剣は自然と止まる逆に力みすぎると身体前にいきすぎて隙ができるだけじゃなく、剣もすぐに折れてしまい長時間の戦闘ができなくなる何度も説明してるだろバカ弟子」


「そんな事言ったって氣を循環させながら木刀振るなんてどうやっても氣が途中で途切れちまうじゃねえかよどうしろってんだよ師匠」


「お前さんはこれから化け物だけでなく人も相手するんだこんな事できなきゃすぐ呪われて死ぬぞ…技を教えるのは循環させながら最低2時間はたもたせんか暁仁」


「1時間保ってるからいいじゃねえかよ」


「甘いわ、阿呆が最低2時間と言っいるだろうもし乱戦になったら真っ先に死ぬぞお前さん、もっと集中せい集中を…」


「わかったよやりゃぁいいんだろやりゃあ」


「グチグチ言わずに最初からそうせんかいバカ弟子が…」


「ったくもうすぐ孤児院で陰陽師のカリキュラムが始まるってのに早く札とか印とか教えてくんねえのかよ」


「今のお前さんには圧倒的に知識不足、学べる場所があるのならそこで学んでから俺の陰陽術を教えてやろう」


「その言い方だと陰陽術って何は種類があるように聞こえんだけど」


「おう、感がいいな。ついでに陰陽師にも流派が存在するからな学ぶことは腐る程あるぞ」


「マジかよここまできてまた勉強かよ…」


「大丈夫だお前さんの嫌いな数学のようなものは出てくることはない」


「…ふっ〜助かった」


「ただ無茶苦茶難しいから覚悟しろよ」


「そんな笑顔でいられると逆に怖いんだけど」


「まぁ気にするな要するに暗記することが多いし陰陽道について考えなければならないことが多くなるだけだそのうち、普通の生活が送れなくなり、事あるごとに祝詞を唱えてるだけだ何簡単だろ」


「いや怖えよなんで事あるごとに祝詞唱えてんだよただの不審者になりさがってんじゃないかよ」


「何お前さんもすぐになれる」


「師匠悟った目でこちらを見ないでお願い、お願いしますから本当お願いですからその目はやめてください…どんだけヤバいんだよ陰陽道」


 俺はこの時、好奇心が一気に恐怖へと変わったのを感じた今日此の頃であった…


 俺は今日の修行を終え孤児院に戻ることにした


「よし、優斗から時計借りといてよかったこの時間なら何とか間に合いそうだ」


「ん?」

 

 孤児院まで走って戻る途中道に眼鏡をかけ髪を結んでいる若い男が一人手に持っている紙を見ながら道端でたたずんでいた


「お兄さん何してんの?」


「おぉっ!びっくりした…君は?」


「あぁ、俺この近くに住んでんだお兄さんは?」


「仕事で行かなければならない場所があって探してるんだけどいつの間にか墓地にいてね」


「もしかして迷子?」


「嫌〜、恥ずかしながらそうなんだよ」


「もしかして仕事って陰陽師関係?」


「!…なんでわかったのかな?」


「俺、この近くの孤児院に住んでんだけど明日から始まるカリキュラムで陰陽道ってのが始まるの聞いてたからさお兄さん大量の荷物持ってたからもしかしてと思ってさ」


「へ〜よくわかったね…君名前は?」


「俺、あきと7歳お兄さんは?」


「僕は橘孝介明日から君達を教える2級陰陽師だよよろしくね暁仁くん」


「よろしく橘兄ちゃんでいいか?」


「うん、いいよ」


橘孝介はこちらに笑顔を向けてそう名乗った。


「もしよかったら道案内お願いできるかな?」


「いいよ、俺も今から帰るところだし」


「ありがとう。じゃあ行こうか」


「うん」


 俺達2人は歩きながら色んなことを話し、気づいたら孤児院の玄関についていた。


「たっただいま…」


「お帰りあきちゃん」


「ひっ卯野さん」


「今何時だと思う?」


「嫌〜でも15分遅れただけだよそんなに怒らなくてもいいんじゃないですかね」


「ん?何て?」


「すっすみませんでしたー」


「ペナルティわかってるよね」


「いや〜でも道端で道に迷ってる人見つけて連れてきたんだけど…」


「迷ってる人?」


「あの〜今よろしいでしょうか?」


「あらっどなたでしょうか?」


「明日からお世話になる橘と申します」


「!…えぇ、お話は聞き及んでおります。ここで働いている卯野と申します今案内いたしますので少々お待ち下さい」


「うっ卯野さんだから今回はチャラってことで…いいですかね?」


「ん?」


「ひっ…」


「は〜、わかった今回はなかったことにしてあげる。」


「ありがとう御座いますっ」


「早く食事に行ってらっしゃい」


「はいっ」


そして俺は急いで食堂に駆け込んだ…


「あぶねー」


「やぁ暁仁今日は間に合ったみたいだね」


「おう、竜太か…まっまぁ今回は大目に見てもらったかな…」


「暁仁、あんたまたやらかしたの?」


「雪、人をやんちゃな奴みたいに言うのはやめろ」


「お前の場合そう扱われても仕方がないだろ」


「そんな事はないですよ〜秀兄さん暁仁だって成長してるはずですからね〜」


「まぁ、暁仁の場合反省はしてるんじゃないかな」


「おう優斗時計ありがとな」


「うん、また明日も行くのかい暁仁?」


「おう」


「午後に君はいったい何処で何をしてるんだい」


「ん〜内緒そういやー明日から俺達を教えてくれる陰陽師に会ったぞ」


「えっ誰?」


「橘兄ちゃんって人」


「橘先生が来たのね!やったー」


「雪お前は別だろ」


「違うわよここのところ3ヶ月間陰陽師の人は誰もうちに来てないわよ」


「じゃあ、誰に教わっていたんですか〜雪姉さん」


「土田さんだよ」


「えっ!土田さんが教えてくれてたの雪姉」


「そうよ優斗、あぁ見えて土田さんここで働く前は国家1級陰陽師だったのよ」


「マジかよ…そういやー、師匠が元上司って言ってたな…」


「「「「「師匠?」」」」」


「いや…聞き間違えじゃねえか俺は醤油取ってくれって言ったんだよそんな師匠なんて言葉言ってねえよけして…」(汗)


雪(怪しい)


「とりあえずその1級陰陽師ってなんなんだい」


「陰陽師には階級があって資格を取るだけでなく強さと実績でその階級が決められてる1級は上から2番目の陰陽師なことだ」


「秀一の言う通り、だから本当は土田さんってすごい人なのよ」


「そんなにすごい人がなんで孤児院に?」


「知らない、でも土田さんいい人だからそんな事いいじゃない」


「そうですね〜ただ今回来た橘という方はどんな人なんですか〜?」


「国家2級陰陽師よ」


「上から3番目か…ただ僕達陰陽師について余り知らないんだけど…」


「優斗俺が読んでる本貸してやるよ時計貸してくれた礼だ、一通り陰陽師について書いてあるからその本読めばわかると思うぞ」


「暁仁、君という奴はまた一人抜け駆けして調べていたのかずるいぞ」


「うるさいぞ竜太、情報を集めるのは当たり前のことだろうが」


「くぬぬ…」


「ありがとう暁仁、竜太と霞も一緒に読むかい?」


「そうですね〜お願いしてもいいですか〜?」


「まっまあ仕方ない僕も一緒に読んであげよう」


「お前は素直にありがとうって言えばいいだろ…」


「お前にありがとうっていうのが悔しいんだろうな竜太は…」


「そういえば暁仁師匠って誰のことよ」


「さぁ、飯も食べたし風呂だ風呂…」


そう言って俺は逃げるようにその場を去った。


「ちょっと待ってよ、話は終わってないわよ」


 こうして孤児院の夜は子供達の声と共に更けていくのであった…

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