第8話

 翌日、カリキュラムが終わった俺は奈々に会いにホームへと足を運んだ。


ピーンポーン


「はーい、あらあきちゃんどうしたの?」


「今日は卯野さんがホーム担当なんだ」


「えぇ、今日から1週間間私がホーム担当よ。あきちゃんは奈々ちゃんに会いに?」


「うん、そうだよ」


「わかってると思うけど、1時間だけよ」


「わかってるよ卯野さん」


「じゃあ、連れてくるからちょっと待っててね」


「了解」


俺が少しだけホームの前で待っていると


ガチヤ「お待たせ」


「にぃにー」


「おー奈々会いたかったぞ元気にしてたか?」


「うん」


「今日は何して遊ぶ?」


「ボール」


「そっかボールで遊びたいか」


「あっ、卯野さんそれじゃあ1時間だけ奈々と外で遊んできます」


「わかった。気をつけてね奈々ちゃんあとあきちゃんはお兄ちゃんなんだからしっかり見てあげなきゃ駄目だからね」


「わかってるよ卯野さんそれじゃあ」


 そう言って俺は妹と手を繋ぎながらグラウンドへ向かった。


「アハハハハ」


 笑いながらボールをこちらに転がし俺が転がし帰すその繰り返し


「奈々、楽しいか?」


「うん」


「そうかそうか」(デレデレ)


「暁仁顔が気持ち悪い事になってるわよ」


そう言って俺の背後に立つ女が1人


「あ〜、ゆーねぇだ」


「奈々ちゃ〜ん」


 そう言って雪は奈々に抱きつき始めた


「おい雪奈々に抱きつくな」


「いいじゃないこんな可愛い子暁仁の妹にしとくのもったいないじゃないせっかくだしこれからは私の妹ってことで…」


「ふざけるなよ雪」


「奈々、昼食の時にくすねてきたりんごジュース飲むか?」


「うん、飲むありあとうしゅいち」


「あぁ」(ナデナデ)


「おい、秀一お前もさりげなく奈々の頭をなでるな殺すぞ」


「ふっ、大勢で遊んだほうが奈々も喜ぶだろう」


「そうよそうよ、ね〜奈々ちゃん」


「ね〜」


「そんな、奈々お兄ちゃんとの大切な時間を」


「いいから遊ぶわよ後、30分しかないんだから」


「奈々、何して遊びたい?」


「う〜んとね、砂遊び」


「わかった、おい暁仁奈々を抱っこしろ」


「お前に言われずともわかってるよ秀一、ほらおいで奈々〜」


「嫌、ゆ〜ねぇがいい」


「だって、暁仁ざんね〜ん」


「…ガーン」


「とりあえず砂場まで行くか」


「そうね」


 そんなやり取りをしながら俺達4人は砂場まで行き残りの時間を楽しく遊んだ。


「じゃあな、奈々」


「バイバイ、にぃに」


「よし」


 俺は奈々をホームまで見送った後、視線を感じた場所に移動した。


「おー、暁仁」


「師匠なんでここにいるんだ…」


「嫌〜暇だから弟子の様子を見にこようと思ってな。それより、あの子はお前さんの妹かい」


「そうだよ」


「ほう、あの子も中々の才能を秘めているなここは宝の山だな」


「俺の妹は陰陽師にはさせないよ。あいつが笑って暮らせる日々を守りたいのから」


「わかったわかった。俺も今んとこお前さん以外弟子をとるつもりはないからな」


「…師匠もし、俺が孤児院から出ていかないといけない時が来たら孤児院全員に対して俺に関する記憶を封印することは可能か?」


「!…なんだお前気づいていたのかいつか俺がお前をここから連れ出す事を」


「そりゃあそうでしょ国お抱えの陰陽師がこんな田舎にずっといるはずがない普通に考えたらわかることでしょ…期限だけ聞いてもいいか?」



「そうだな〜…期限はお前が12歳となると同時にお前さんを俺の養子として迎え15歳になるまでお前を鍛え陰陽師専門の高校に行かせるつもりだ。その間いくつかの仕事もこなしてもらうと共に特級陰陽師の資格も取ってもらう」


「…わかりました。それで家族(孤児院)が守るなら受け入れるよ」


「しかし…お前さん本当にいいんだな?」


「何が…?」


「記憶の封印のことだ…しかも制約もあるぞ」


「覚悟は決めた。それに俺が裏の人間になるということは必然的に孤児院の人間が狙われる事が考えられる…ならその危険は排除しないとそれにここは孤児院だよ。俺の経歴はそうそうバレることはないでしょうしね。経歴は師匠が何とかしてくれるんだろ。」


「…あぁその通りだ、しかし一人だけでもお前さんの事を覚えている人間は必要だろ?」


「じゃあ土田さんであと…制約については記憶の復活は俺が死ぬか瀕死の状態の時でどう?」


「…いいだろう。お前さんガキっぽいと思ったらその歳でよくそこまで頭が回るもんだ感心した」


「いや〜伊達に本を読み続けてるわけじゃないので俺も」


「よろしくお願いしますよ師匠」


「あぁ、わかったよバカ弟子」


「さて、俺はそろそろ孤児院に戻るよ。明日の修行は午後からだかんな師匠」


「おう、そんじゃあな」


 夕暮れを見ながら俺は孤児院に向かって走って戻る。道端には真っ赤な綺麗な花が俺が走ったあとを風で少し揺らしながら俺はこの日の決意を忘れないだろうとそう誓った。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る