第3話

 今日も孤児院で目を覚ます。


「おはよう秀一」


「アァ〜アァ、おはよう暁仁」


 お互いに軽く挨拶を交わした俺達は、食堂へと足を向ける。


「もう席いくつか取られてるな〜」


「雪はどこだ?」


「暁仁、秀一〜こっちだよ」


 振り向くと、雪がこっちに手を振りながら呼んでいた。


「「おはよう雪」」


「おはよう暁仁、秀一」


 そう挨拶を交わしながら席に着くと正面には小さい子供用の椅子が置かれていた。


「今日は一緒に食事とれそうでよかったね」


「そうだな…」


 そんな話をしていると小さい人影が数十人程食堂に入ってきた。


「おにぃ〜だっこ」


そう言って俺の左横に来たのは妹の奈々だった。


「だっこ〜ぉ」


「分かったから、はいおいで」


「暁仁私の隣座らせてもいいよ…」


「ありがとな」


「暁仁も妹の前では形無しだな」


 そう言われながらも、俺の席の正面に奈々を座らせ奈々の隣には雪、俺の隣には秀一といった感じで朝食をとっていく。


(クチャクチャクチャクチャ)


 そんなそしゃくおんをならしなが笑顔で食事をとる奈々


「こっ、コラ口についてるぞ」


そういいながら奈々の口をティッシュで拭いてやる


「お兄ちゃんとご飯一緒に食べれるから嬉しいんだよね〜」


「たまにしか、チビ達と飯一緒にできないんだからそれくらい我慢しろよ暁仁」


「わかってるけど、こういう時にしか世話やけないんだから仕方ないだろ」


「ほら、今のうち色々と教えてやらないと、もし不良な子に育っちまったらお前らは責任取れるのか?」


「「相変わらずのシスコンだな(ね)」」


「いいな〜妹、私も妹が欲しいな〜」


「俺も兄弟はいないからな、まぁ特に欲しいと思ったことはないがな」


「ゆーねぇ、しゅいちどしたの?」


「かわいいー、暁仁、奈々ちゃん私にちょうだい」(ナデナデ)


「奈々、俺の名前はしゅいちじゃなくてしゅういちだわかったな?」


「誰がやるか💢あと秀一お前は奈々に近づくな男が近づくのは許さん」


「俺はロリコンじゃないから大丈夫だ」


「私ここでは奈々ちゃんのお姉ちゃんだもんねー、ね〜奈々ちゃん」(ナデナデ)


「ね〜」


「な、奈々〜お兄ちゃん泣いちゃうぞ、あと雪いい加減に奈々を撫でるのやめろよな、お・れ・の妹だからな」


「なぁ〜に〜ヤキモチみっともない」


「う、うるさい」


そんな話をしながら食事をとっていると


「今日も仲良そうだね君たちは」


「うゎ〜、何だお前かよ竜太」


 後ろを向くとそこには俺と同い年の3人組が俺達に話しかけてきた。


「うゎ〜ってひどくないかい君」


「酷くないよ竜太、早く食事食べたら竜太」


「うるさいぞ竜太」


「可哀想な竜太」


「落ち込まないでね竜太」


「雪姉も秀一兄も酷くないか?あと霞、僕は、かわいそうじゃないからな。それに優斗、僕は落ち込んでなんかいないからな決めつけるなよ泣くぞ…」


「で、何のようだよ竜太」


「僕達、今年で7歳になるだろ」


「そうだな」


「今年は計算と読み書き以外の新しいカリキュラムが始まるわけだろ」


「新しいカリキュラムか…秀一と雪は、受けてるんだよな」


「まぁね、とても難しい話だから覚悟しといたほうがいいわよ」


「俺にとっては簡単だが、暁仁と竜太は頭のできが悪そうだから理解できるかどうか…」


「雪姉、秀一兄も暁仁と竜太がかわいそうですよ〜」


「秀兄さんも雪姉さんもそんな本当こと言ったら…見てください2人の顔を」


((チッ、事実だから何とも言えねー))


「あぁ〜、これはあれですね。何か言い返したいけど否定できないって顔してますね〜」


「暁仁、竜太、そんなに落ち込まないで、わからなかったら僕が教えてあげるから」


「ゆーねぇ、にぃにのかおへん」


「プッ、奈々ちゃんがあんたの顔変だって」


「奈々〜〜」


「ゴホン、まぁそれでだ、僕はライバルである君と競い合いたいということさ」


「いいけど、何やるかわかんないのに競い合いってどうなんだよ」


「ふっふっ、安心したまえ僕がしっかり情報を入手してきたからね。」


 「へ〜、で俺達がこれから学ぶものってなんなんだよ」


「僕達が学ぶのは、それは陰陽道」


「陰陽道?なんだよそれ」


「僕も詳しくは知らない」


「知らないのかよ」


「雪姉と秀一兄は、陰陽道を先に習ってるんですよね。どんな事を学んでいるんですか〜?」


「まぁー、知ってからのお楽しみかな?」


「今知っても仕方ないと思うぞ、それを知るために大人達が時間をつくってくれるわけだからな」

 

 「それと、教えるのはここにいる大人じゃないのよ」


「じゃあ一体誰が教えるんだよ?」


「それはね、他所から来る大人が教えるの」


「雪姉さん他所からわざわざ大人がここに来るんだい?」


「そうね、確か暁仁達が受けるのは今が8月だから2ヶ月後の10月頃にうけると思うわよ」


「へぇ~」


「にぃに笑ってる」


「楽しみなんですね暁仁は」


「その笑い方いい加減やめろ気持ち悪い」


「仕方ないだろ、緊張したりすると頬が勝手に笑っちまうんだから」


「ワクワクしてるってのもあるんだ。他所の大人なんて来るのあまりないし、そいつが俺達を教えるわけだろ?そりゃ燃えるだろ」


「それでこそ僕のライバルだよ」


「暁仁やっぱり君は面白いね。僕も頑張るよ」


「にぃにうれしそう」


「さて、先の事を考えるのはやめにして今日の清掃終わったら午前中はそれぞれのカリキュラムを終わらせないとね」


「「うげっ」」


「これは完全に忘れてたみたいですね〜」


「暁仁、竜太午前は一緒のカリキュラムだからわからないところあったら教えてあげるからさ」


「優斗は優しいわねー、暁仁も見習いなさいよ」


「話してるのはいいけが食堂の営業時間もう終わるぞ、さっさと片付けないと」


「やばっ」


「暁仁は奈々ちゃんホームまで送ってかないといけないでしょ」


「そうだった時間、間に合うかなー」


「暁仁、僕がしばらく時間を稼いであげよう」


「おっ、ありがとな竜太」


「それじゃあ解散」


 雪のその言葉とともにそれぞれが自分の生活に俺達は戻っていった。


















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