旅立ち
そして一週間後、カイトは日本を旅立った。
「今の君に相応しい作品ができると思うよ。きっと今の僕の最高傑作になるだろう。また、来月、一度日本に戻るから、そのとき、僕の思いを伝えるよ」
「ありがとう。楽しみに待ってるね……じゃあ、気をつけて……」
「舞はずっと踊り続けて……どこにいても僕は見てるから……」
そう言って渡されたメモにはカイトの携帯番号が書かれていた。
舞は大きく手を振って空港へ向かうカイトを見送った。
それから約半月後、カイトは交通事故で亡くなった。
遺品の中に舞さん宛の箱があったとの連絡をもらい、今日、赤いリボンのかかった箱が手元に届いた。中には盆栽が入っていた。
(これが今の私……)
それは力強く生き生きとして見えた。
舞は泣き崩れた。
そして箱の中に封筒が入っていることに気がついた。
「僕の愛する舞へーーようやく完成しました。毎日、舞のことを思い愛を込めて作り上げた世界でたった一つの作品です。きっと喜んでくれるでしょう……十月十日、僕の誕生日に会えますか?そのときに舞に話しておかなければならなあことがあります。夜八時、あの店で待っています」
手紙と一緒に一枚のデッサンが添えられていた。
そこには笑顔で踊り続けているあのときの舞がいた。
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