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まず初めに、私は魔王だ。魔物を統べるもの。魔族を統べるもの。魔物の王。略して魔王。この物語はいわゆる魔王であるところの私の話をするというものではない。なぜなら私はもう魔王ではないからだ。それどころか正反対の位置にいる。
つまり―今の私は勇者である。だからと言って私が魔王であった事実は消えようがないわけだが。もっとも、私は私が魔王であったことを誇りに思っている。勇者となった今となってはそんなことを思っているだけで、考えているだけでも良くないことであるのだろうが、それでも私は自分の生きてきた道を誇りに思っている。しかし、立場が変われば見方が変わる。魔王にとって人類を攻めることは人類にとって攻められることで殺すことは殺されることで、嬉しいことは悲しいことで、全てが反対だ。
反対で、反対だからこそ、決して理解することなど不可能だろう。
不可能。
そう思っていた。だが、案外反対の立場っていうのは分かり合えないことばかりではない。ただし、分かり合えるからと言って、それが物事の解決に向かうとも限らない。
相手の立場になって考えよう。という言葉がある。しかし、相手の立場を考え、完璧に理解したからと言っても、自分の立場にも譲れないものはあるだろう。譲れない思いというのは少なからずあるだろう。
結局。
人は自分のことしか大事にできないし、相手が傷ついてもそれで自分がどうというわけでもない。
この物語は、そういう自分の都合で進められる物語であるということを伝えておこう。魔王には魔王の立場があるし、勇者には勇者の立場がある。そういう物語だ。
前説もここまでにしておいて、語らせてもらおう。
私のくだらない人生を
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