ウラオモテ~二人の勇者~
狐月音憑
魔王語り
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「人は何をもってその人足り得るのかって、考えたことあるかい?僕はしょっちゅう考えるんだけど、答えが全く分からない。最初っから最後まで、全く全部、手の出しようがないぐらい分からない。
俺の慕う彼女との会話の一遍。他愛のない与太話。
「人を認識するにはその人の見た目が必要なのか。あるいは中身が必要なのか。はたまた両方必要なのか。―どう思う?当事者の君としては。
どうなんだろうか。見た目が同じなら同じようにも思えるけれど、中身が違えば違う。かと言って、見た目が違えば中身が同じでも異なる人と認識する。だから結局、両方必要だと思う。
「なるほど。じゃあドッペルゲンガーはどうかな?同じ見た目。同じ性格。そんな人が二人いればどちらが本物の『その人』なのかな?
それは・・・どっちでもいいんじゃないか。同じ二人がいるのなら。
「うーん。だけどその考えは少々危険だね。っていうか異常だ。そんな心無い考え、僕には全く思いつかなかったよ。
嘘。
「嘘だけどね。確かに同じものが二つあればどっちでもいい。まあでも今出した問題は人間ならどうだって話だ。だからそういう問題が提示されれば時間軸の問題。
―つまりはどっちの方が自分とより親密なのかって考えることになるけど。
それはきっと、その通りなのだろう。同じものが二つある場合、選ぶときは愛着とか、そういう同情で選ぶことになるのだろう。人間だったらなおのこと。
たとえ選ばれなかったもう一つに、どう思われようとも。
「それは、自分のことかい?
それは、そうなのかもしれないし、そうじゃないのかもしれない。
「なんだい曖昧な返事をして。君にはそういうの似合わないよ。はっきり言える所が君の長所だろうに。
「もっとも、僕は君を可愛そうだとも思ってるよ。哀れだ。僕の責任のような気もするけれど、これは彼と君の問題だから、やっぱり君のせいだね。
哀れと言いつつ俺の責任と言ってくるところ。そういうところが大嫌いだ。
「酷いなあ。僕に向かってそんなことを言うなんて。傷つくよ。まあそんなことはどうでもいいとして、こんな選択肢しか取れなかった君は反省すべきだと思うよ。猛省しろ。君を信じた彼らも。君に騙された彼らも。君に殺された彼らも。全員が全員不幸になってしまった。
そう。全員。例外なく不幸になってしまった。俺の選択のせいで。
「それで?この後どうするんだい?君はどうにかしたいって言うけれど、言うほど簡単なものじゃないよ。そりゃ君の犯した罪と比べればこんなことは簡単だけれど、それでも少なくとも君は不幸だ。それでもいいのかい?
もちろん。俺が不幸になるぐらいならいくらでもなってやる。だけど。
「だけど。そうか。確かにね。じゃあ一応聞いておこうか。君は、幸せかい?」
「 」
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