あれやこれや『カクヨム短歌賞1首部門参加作品』
はむひこ
あれやこれや
窓に引っかかった下弦の月を
サイドスローで隣家に投げ込む
好きな子も
頼りない子も
嫌な子も
誰かから見たワタシなのかも
人間をふるいにかけて
繊細な人だけ堕ちる
素敵な社会
あぁ悪い夢なら早く覚めて
夢じゃないなら弁護士を呼びます
裏切りはいつも一番仲の良い友人の顔してやってくる
恋文を忘れたからと
目の前の砂に書かれたデカい四文字
抱きしめてなんて言わないから
何もいらないからどうか
抱きしめて
小舟に乗るのは一人ずつ
どちらが先か
言いっこなしよ
自分を一番大事にしたら
自分が一番傷つく気がした
雨に濡れ
冷えてこりゃかなわんと
柔らかな雨がジワジワと
心を
天井のスプリンクラーに
幼少のゼリーのカップを思い出す
いまどき王子様は白馬に乗らない
真っ赤なジャガーでね
darling
ソーダ弾けるジュディマリの罠
知りすぎたんだ
右も左も分からなかったあの頃に戻りたい
人生は
山あり
谷あり
街あり
着いたサ店でデュエルスタンバイ
正義とは多数派のことだから
私の正義は悪だと言われた
いつまでも忘れられなくさせている
あなたが置いた椅子の足跡
フラれても
フラれても尚
ウキウキと
愛のスコール
雨に歌えば
私だったら
ソイツの汚い
夢を掴むけどね
今年買って良かった物第一位
猫のヒゲ
君といるドキドキが
『放課後』という言葉の響きで三割増し
あと一貫寿司を食うか迷うなら食え
死ぬ時に後悔するぞ
あと一杯で終電を逃す
君は空になったグラスを上げた
傷ついた分強くなれるって?
カサブタの
あかぎれの拳に染みる木枯らしと
うつむく君で始まった冬
一人で抱え込まないで
じゃあ見てないで一つくらい持ってくれよ
湯を注ぎ
出来たカップ麺の味を
いっちょまえに品評する昼
あどけない制服姿
大きめのズック靴はかかとがパカパカ
体育のあとの火照りが
直に着たワイシャツの背を濡らす六限
鉄筋コンクリートに負けて折れた首が並ぶ都会の音楽
洋画の真似してハンバーガー
頬の上にデカいレイバン
アメリカ
圧巻の炎が焼いた悪漢の
意地が見せた垂れる赤い舌
あれやこれや『カクヨム短歌賞1首部門参加作品』 はむひこ @hamunohito
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