あなたの手

月光に溶ける影をなぞり

夜の帳の縁に指が垂れる

柔らかなざわめきが耳を撫で

あなたの手は、闇から差し伸べられる


触れることなく、肌を知る

甘く、冷たく、まるで夢の記憶

囁く声は風に溶けて

それでも心は震え、逃げられない


窓辺の蝋燭が揺れるたび

あなたの手が光をかすめ

微笑みの裏、深い森のような闇

指先に秘められたものが蠢く


朝が来ても、残る余韻

まどろむ瞳に浮かぶ痕跡

知らず知らず、触れられた想いは

妖しく、指の間で溶けてゆく

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