庭先事件簿（５ー８月）

球根が夏のはじめに海月に変わり白い肢体を切り落とされた

一列に並び朝顔我先に手をのばしゆく助けを求め

アンティークと呼べ、渇いた渇いたの紫陽花がみな頭を垂れる

草の間に隠されていた卵だが身元不明のまま乾（ひから）びる

跋扈するオオバコヨモギドクダミを探偵はまだ薬に出来ぬ

バラバラに、そうバラバラに解体しコスパよろしく渦巻には火

変態の変態による変身ショーに至るまでスミレ無慈悲な

さあパインお生きなさいな王冠を水に浸した王を食して

マイマイは遅々として静、死している 方やネッシー目だし角だし

マンゴーは小さき竜として出（いず）る

ー 湖は涸れ夏の夜の夢