絵空事

たくさんの名前をもっているのだが名乗れば終わり　みな絵空事

待っていて　幕があがれば踊るから臓器はわたしのまま終わるはず

一房の葡萄をリアルに描くなんてあきらめて食べてみたら、わかった

自我なんて持つちやいないよ　青いまま樹液拒んで落ちても、ひとり

半分は駅、半分は城の部屋　片目つむればどこにでもある

台風の目のまんなかに守られてまた外に出てさびしく元気

日に一度こころの底から笑いたくAmazonで見つけた笑い茸

とてもよくわたしに似ている抜け殻はきれいに消えて澄んだ晩夏だ

レイトショーエンドロールを見届けて猫脚で行くよ夢のつづきへ

偽りの記憶だけれどあの時のあの声のときの青いベンチだ