Story#0000:私は魔法少女、炎のヤイエル!
私には一つ、隠していることがある。それは、たまに宇宙人と会って異世界に渡り、魔法少女に変身して怪物と戦っていることだ。
初めてあの人たちに会ったのは三年前、11歳の頃だった。何かに呼ばれた感じがして住んでいるタワーマンションの屋上に行くと、空に淡く光り輝く不思議な円盤があった。
驚き、それを見上げていると、金髪に青い目のお兄さんとお姉さんがその円盤から降りてきて、私に自分たちの船に乗るようにと勧めてきた。
面白そうだったから二人と一緒に船に乗ると、二人はこんな話をした。
今、世界は壊れ掛けている。邪悪な勢力が宇宙の善悪の逆転を目論んでおり、彼らを倒すために戦士としての力に目覚めた人間を探している。
何故その話を私にするのかと二人に訊ねると、二人は微笑んで私に、あなたは目覚めている、と言った。彼らはプレアデス・ブロンドという種族であり、地球の進歩を見守っている善良な勢力の種族だと語った。
まず、あなたには三億六千万年前の時代に行ってもらいます。そこでは、邪悪な勢力の者たちが地球を荒らし回っています。彼らと戦い、彼らを倒して地球に平和をもたらしてください。
私はそれを承諾し、その日は帰って寝た。翌日起きて洗面所に行き、鏡を見ると胸の上に深紅の水晶のような宝石が埋め込まれていた。
何となくその宝石に意識を集中させると身体がふわりと光に包まれ、次の瞬間には着ていた服がパジャマから人形のような可愛らしいものに変化していた。
・・・・・・これは、魔法少女?
私は驚きと嬉しさのあまり小躍りした。昔から魔法少女もののアニメが大好きだったのだ。同時に、このことは皆には、黙っておこうと思った。こういう時は他人に知られてはいけない。
その日の夜、私はこんな夢を見た。見たこともない植物に覆われた大地の上を飛んでいる。しばらくそうして空を飛んでいると、"助けて"という声が聞こえた。
声がした地上の方を見ると、真っ白なエルフのような人たちが、宙に浮くサーフボードみたいな乗り物に乗って銃を構える緑の鱗を持つトカゲのような人たちに追われている。
トカゲたちはエルフたちに銃口を向け、片っ端から撃ち殺しているように見えた。あれが邪悪な勢力か、と思った私は光弾を放つように、そちらに向けて花火を放った。
私はそこで目を覚まし、何だ夢か、と胸を撫で下ろした。だがやけに感覚がリアルだった、などと想いを巡らせながら手のひらをそっと開くと、ぽっと炎が灯った。その時初めて、あれはただの夢ではないのだと感じた。
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