第5話

アマリリスは、テーブルの上のグラスに視線を落としながらも、真正面に座る少女を見据えた。

「あなたは……本来なら光の神として、この世に存在しているはずよ。あの光の羽根は、まぎれもなくその証拠」


少女はグラスを両手で包み込むように持ち、静かに首をかしげた。


「……神が、命を捨てる? 人々を救うはずの存在が、自分から消えようとするなんて――そんなの、ありえないでしょう?」

アマリリスの声は強くなり、店内の空気がわずかに揺れたように感じた。


だが、少女はその言葉を受け止めながらも、瞳を伏せる。

「あなたが神なら……その理由も、もう分かっているはずです」


その返事は、やわらかいが鋭さを秘めていた。まるで自分の痛みを相手に差し出す代わりに、同じ重さを抱かせようとするような響きだった。


「……っ」アマリリスは口を閉ざし、両手で頭を抱え込む。

「この子は……頑固っていうか、頭が固すぎる……どうすればいいのよ……」


カフェの窓から差し込む夕暮れの光が、二人のあいだに伸びていた。少女の頑なな沈黙は揺るがない。説得しても意味があるのかどうか分からない――。


(もう、こうなったら……家に連れて帰っちゃうしかないかな。拉致っていうか……強引にでも連れて行かないと、この子はまたあそこに戻る……)


アマリリスはジュースの氷が溶けていくのを眺めながら、そんな考えをぼんやりと巡らせていた。

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